満洲国赤十字社の歴史:鈴木路子特任研究員の学術論文が海外主要学術誌へ掲載されました

満洲国赤十字社の歴史:鈴木路子特任研究員の学術論文が海外主要学術誌へ掲載されました

画像:「新京日日新聞」に掲載された満洲国赤十字社創立記念式典の様子
満洲国赤十字社『仁愛』1939年3月創刊号(第1巻第1号)前付より
(大阪府立中央図書館提供)

歴史家ワークショップ事務局の鈴木路子特任研究員の学術論文 The Manchukuo Red Cross Society and the Kwantung Army’s Nation-Building Project in Manchuria, 1938–1945Asia-Pacific Journal: Japan Focus (ケンブリッジ大学出版)に掲載されました。

すい星のごとく現れ、去っていった満洲国赤十字社(1938-1945)。本稿では、幻とも言われる赤十字社の歴史を概観しています。史料残存率の著しい低さから、研究調査は10年以上を要し、主に日本、スイス、アメリカの三か国にまたがったそうです。

戦前期、中国東北部の複雑な地政学と国際関係の力学の中で、関東軍はなぜ、国際協調主義と人道主義を象徴する赤十字社の創設を急いだのか? 近代国家構築構想の一環として、関東軍は国際オリンピック委員会を始め、様々な国際運動への参画を図りましたが、その中でも国際赤十字・赤新月運動への参画は特筆すべきものがありました。関東軍は、五族協和政策の名の下、多民族国家として、国際社会から独立国として認められるために、ジュネーブ条約締約国からなる国際赤十字・赤新月運動を利用しました。関東軍の野望あるいは理想?を垣間見ることができます。 

The Manchukuo Red Cross Society and the Kwantung Army’s Nation-Building Project …
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