阿部純(12thリサーチ・ショーケース運営委員)

第12回Research Showcaseを2月18日にzoomで開催しました。今回は、当初予定の東北初の現地開催からオンライン開催に切り替えての実施となりました。

今回は日本宗教史分野からの発表者をはじめ、生物学史やタイ建築史、近現代ドイツ外交史、英国現代史からの発表者も集まりました(当日のプログラムはこちら)。司会を東北大学のオリオン・クラウタウ先生が担当し、同じくクラウタウ先生と東北大学のクリントン・ゴダール先生がゲスト・コメンテーターをつとめました。

ゴダール先生はプレゼンテーションにおける重要なポイントを3つに分けて説明しました。第一に、自分の主張を、複数ではなく「1つ」の「大きな結論」として示すことです。オーディエンスの記憶に留めて欲しいことを1つに絞り、それを結論として示すよう心がかけることが重要だと述べました。第二に、先行研究と自分の報告の違いを明確にすることです。報告の方向性をオーディエンスに伝えるためにも、先行研究の問題点と自分の報告の正当性を、最初の段階で述べておくことが重要だと指摘しました。最後に、パワーポイントについて、スライドに多くの情報を詰め込むのではなく、簡潔なものにする必要性を示しました。

クラウタウ先生はゴダール先生のお話を踏まえつつ、日本の学会と国際学会における報告方法の違いをご自身の経験を例に出しながら説明しました。その上でクラウタウ先生が最も強調したのは、プレゼンテーションのイントロダクションで、自分の研究がいかに新しいのか・新規性があるのかを示すことの重要性です。研究の目的のみならず、その研究を行う意義を説明することが必要であり、最初のスライド1~2枚で研究史とその問題点を踏まえておくことで、報告の目的・内容・結論の新規性をオーディエンスが理解できると述べました。

今回のResearch Showcase Prizeには、戦後日本のオカルト言説について報告した東北大学大学院国際文化研究科の韓相允さんが、オーディエンスの投票によって選ばれました。おめでとうございます。

今回も発表者の方々に、アンケートに協力していただきました。以下、その一部を紹介します。

今回の Research Showcase での準備・発表を通して 一番楽しめたこと、苦労したことをそれぞれ出来るだけ具体的に教えてください。

  • 楽しめたこと:普段参加する学会と異なり専門的に違う人達の発表を聞くことができたこと。苦労したこと:原稿の校正や修正。いろいろな方にフィードバックを貰って前日まで細かい修正をしました。
  • 異なる専門分野の研究者に自分の研究のエッセンスを短い時間で伝える機会はこれまであまりなかったため、レビュワーとのやり取りの中で、研究のどこに焦点を当てればわかりやすくなるか、異なる専門分野の研究者はどの部分がわからないのかといった点を学ぶことができたことは貴重な経験となりました。
  • 全てのオーガナイザーが非常に親切で、発表者の気持ちをリラックスさせるよう様々な配慮をなさってくださったことに感謝いたします。楽しめたことは、多くの先生方から多様な観点からアドバイスを頂けたことです。発表者の方々のモチベーションも非常に高く、大いに刺激を受けました。苦労したのはやはり8分以内に、しかも簡潔にまとめなくてはならなかったことです。

Showcaseへの参加は、あなたの今後のキャリアと研究に、今後どのように役にたちそうですか。

  • ほぼ初めての英語発表で、質問の内容はわかっている際も咄嗟の返答の中で英語をすぐに組み立てることができず、日常的に英語を読むだけでなく話す訓練が必要であることを実感しました。今回の機会を得たことで、今後の英語発表に向けた準備等にも意欲的に取り組むことができるように思います。また、原稿のフィードバックについて、二人の先生から、それぞれ異なる視点からご意見を頂けたことがとても役立ちました。また、内容に関する指摘と、プレゼンの形式や方法に関する指摘の双方があったことで、何を意識して発表を行うべきか把握しやすくなりました。
  • 専門的な研究をしていると、専門外の人々は何に興味を持つのか、またプレゼンの前提となる知識をどの程度聞き手が持っているのかわからなくなりがちです。レビュワーとのやり取りの中で、これらの点を学ぶことができました。専門知識のない人々に自分の研究について伝える上で今回の経験は役に立つと思います。

コロナ渦が続く中、前回に引き続き2回目のオンライン開催となったRSですが、当日は皆様のご協力のおかげでスムーズに進み、無事に終えることができました。41名ほどの参加者を得ることができ、Q&Aでは多くの質問やアドバイスが発表者へと寄せられました。司会のクラウタウ先生や質問者が、発表者をエンカレッジしながら具体的な改善案や先行研究の紹介をする場面も見られ、緊張感がありながらも温かい雰囲気の中で刺激的なやり取りが交わされていました。今回のRSが発表者を含め、参加した皆様の今後の研究や教育にとって有益であったならば幸いです。

東北大学のクラウタウ先生、ゴダール先生、茂木謙之介先生、告知に協力してくださった方々に感謝いたします。今後とも、英語での発表スキルの向上や、学際的・国際的交流を目指す全ての歴史研究者の参加をお待ちしています。