歴史家ワークショップでは、2020年11月から2021年1月にかけて、一般の聴衆向けに連続講座「伝記の読み方を考える」(全3回)を開催します。新型コロナウィルス感染拡大防止のため、イベントはオンラインでおこない、YouTubeで配信します。


ある作家——芸術家、音楽家、小説家、詩人、あらゆるクリエイター——の作品について解釈するときにまずすることは、作品が制作された背景を調べることでしょう。当時の社会事情、浸透していた思想、関連しそうな出来事なども大切ですが、作家が考えていたことを探るため、伝記を読む人も多いはず。しかし、伝記に書いてあることを、そのまま作品解釈の助けにしてよいものなのでしょうか。

また、作家に、あるイメージが付随していることがあります。富や名声に興味を示さず真の芸術を求めて自らと向き合った作家、生涯にわたって頻繁に浮名を流した愛多き作家、生前は理解者に恵まれなかったけれど、没後に大きな名声を手にした作家……。そうしたお決まりのイメージの形成に、伝記はどのような役割を果たしてきたのでしょうか。

こうした疑問を発端として、このたび歴史家ワークショップでは、現代日本でも有名な作家を3名取り上げ、それぞれの作家について研究してきた専門家に彼らの伝記について語っていただく連続講座を企画しました。去る11月14日に開催した第1弾では音楽家ベートーヴェンを、12月19日に開催した第2弾では絵師円山応挙を取り上げました(動画のアーカイブをリンクしています)。

最終回となる第3弾では、アメリカの作家アーネスト・ヘミングウェイを取り上げ、作家自身がつくるイメージに焦点をあてます。ヘミングウェイの文学作品には自伝的要素が多く見られますが、作家がどのように自身の姿を作中に登場させているかは、書かれた作品の時期によって大きく異なっています。また死後出版作品に関しては、作家が独自の方法で作中に塗り込めた自身の姿や声を「編纂」という名の下で変えてしまった編集者の存在も無視できません。

今回は、そうした文学作品のなかの作家自身の姿について、文京学院大学のフェアバンクス香織さんにお話しいただきます。フェアバンクスさんは、著書『ヘミングウェイの遺作——自伝への希求と〈編纂された〉テクスト』のなかで、ヘミングウェイの未発表作の手稿研究を通して、作家自身が追い求めた「ヘミングウェイ」像に迫っています。司会を務めるのは、前2回と同じく古川萌です。

イベント詳細

開催日時2021年1月23日(土)17:00-19:00
17:00-17:30 司会による趣旨説明
17:30-18:30 フェアバンクスさんご講演
18:30-19:00 Q&A
配信方法東京大学人文情報学(UTDH)のYouTubeチャンネルにて配信
(後からの視聴も可能)
参加費無料
参加登録不要

講師プロフィール

フェアバンクス香織
文京学院大学外国語学部准教授。早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。学術博士。専門はアメリカ文学、ヘミングウェイ研究。著書に『ヘミングウェイの遺作——自伝への希求と〈編纂された〉テクスト』(勉誠出版、2015年)。John F. Kennedy Library の Visiting Researcher としてヘミングウェイの草稿調査に従事している。

企画・司会プロフィール

古川萌
東京大学経済学研究科特任研究員。ルネサンスの美術家たちの伝記『美術家列伝』と、その著者ヴァザーリについて研究。著書に『ジョルジョ・ヴァザーリと美術家の顕彰——16世紀後半フィレンツェにおける記憶のパトロネージ』(中央公論新社、2019年)。また壺屋めり名義で『ルネサンスの世渡り術』(芸術新聞社、2018年)。