一般向け連続講座「伝記の読み方を考える」を開催します!

一般向け連続講座「伝記の読み方を考える」を開催します!

歴史家ワークショップでは、11月から来年1月にかけて、一般の聴衆向けに連続講座「伝記の読み方を考える」(全3回)を開催します。新型コロナウィルス感染拡大防止のため、イベントはオンラインでおこない、YouTubeで配信します。


ある作家——芸術家、音楽家、小説家、詩人、あらゆるクリエイター——の作品について解釈するときにまずすることの一つは、作品が制作された背景を調べることでしょう。当時の社会事情、浸透していた思想、関連しそうな出来事なども大切ですが、作家が考えていたことを探るため、伝記を読む人も多いはず。しかし、伝記に書いてあることを、そのまま作品解釈の助けにしてよいものなのでしょうか。

また、作家に、あるイメージが付随していることがあります。富や名声に興味を示さず真の芸術を求めて自らと向き合った作家、生涯にわたって頻繁に浮名を流した愛多き作家、生前は理解者に恵まれなかったけれど、没後に大きな名声を手にした作家……。そうしたお決まりのイメージの形成に、伝記はどのような役割を果たしてきたものなのでしょうか。

こうした疑問を発端として、このたび歴史家ワークショップでは、現代日本でも有名な作家を3名取り上げ、それぞれの作家について研究してきた専門家に彼らの伝記について語っていただく連続講座を企画しました。

第1弾では、楽聖ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンを取り上げます。「楽聖」という呼ばれ方からもうかがわれるように、いまや誰もその重要性を疑わないベートーヴェンについては、亡くなってまもなく伝記の執筆プロジェクトが立ち上がりました。この伝記は天才のイメージを強く印象付ける内容になっていますが、じつはそこにはかなりの脚色、創作、事実の歪曲があったと判明しています。

今回はその内実について、『ベートーヴェン捏造——名プロデューサーは嘘をつく』(柏書房、2018年)の著者かげはら史帆さんにたっぷり語っていただきます。奇しくも今年生誕250周年を迎えたベートーヴェンのイメージを、ちょっと考えなおしてみませんか?

イベント詳細

開催日時|2020年11月14日(土)17:00-19:00
配信方法東京大学人文情報学(UTDH)のYouTubeチャンネルにて配信(後からの視聴も可能)
参加費|無料
参加登録|不要

講師プロフィール

かげはら史帆
ライター。一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了。音楽関連企業に勤めるかたわら、音楽家に関する小説や随筆を手がける。音楽雑誌や文芸誌、ウェブメディア等で執筆活動を展開。著書に『ベートーヴェン捏造——名プロデューサーは嘘をつく』(柏書房、2018年)、『ベートーヴェンの愛弟子——フェルディナント・リースの数奇なる運命』(春秋社、2020年)。

企画・司会プロフィール

古川萌
東京大学経済学研究科特任研究員。ルネサンスの美術家たちの伝記『美術家列伝』と、その著者ヴァザーリについて研究。著書に『ジョルジョ・ヴァザーリと美術家の顕彰——16世紀後半フィレンツェにおける記憶のパトロネージ』(中央公論新社、2019年)。また壺屋めり名義で『ルネサンスの世渡り術』(芸術新聞社、2018年)。


連続講座「伝記の読み方を考える」第2弾は12月19日(土)に開催し、円山応挙を取り上げる予定です。こうご期待!