Research Showcase

2018年7月27日 第6回リサーチ・ショーケース開催報告

DjGeZccU0AI49qe

第6回ワークショップとして2018年7月27日に開催されたResearch Showcaseでは、経済史、美術史、イングランド中世および近世史、都市史などの諸分野から7名のスピーカーが集まり、それぞれの研究テーマについて8分で発表して頂き、7分間のQ&Aを行いました。

今回も、英語での研究発表は初めてという参加者が多くいらっしゃいましたが、前回のリサーチ・ショーケースから実施しているQ&Aセッションでのコツを会場全体で共有するという取り組みの甲斐あってか、質疑応答は非常にスムーズでした。当日は東京大学西洋史学博士課程の槙野翔(アイルランド近世史)と小風尚樹(イギリス海軍史)が司会進行を行い、参加者は全体で約25名と、活発で積極的な議論につながりました。最後は太田淳先生(慶應義塾大学)に今回のイベント全体のコメントを頂き、効果的なプレゼンテーションの仕方(聴衆を惹きつける間の取り方や自信を持った立ち居振る舞いなど)実践的なアドバイスも頂けました。

DjGd32iVAAAQTeK

当日はオーディエンスによる投票により、もっとも優秀な発表をしたスピーカーにResearch Showcase Prizeが授与されました。

栄えある受賞者は、東京大学大学院西洋史学専門分野博士課程 田野崎アンドレーア嵐さんです。受賞者の発表は、全報告終了後に講評コメントをくださった太田淳先生が取り仕切ってくださいました。

Image from iOS

イングランド中世における証書発給に見る官僚的機能に着目された田野崎さんは、発表構成が非常にクリアで、論旨を明快に伝えておられました。専門外のオーディエンスにも研究のインパクトを伝えられたことが、受賞の決め手となったように感じました。

懇親会中には、Historians’ Workshopのこれまでの歩みをたどりつつ、活動方針や活動理念について、早稲田大学助教の日尾野裕一さんが発表してくださいました。

ほかにも、今回のリサーチ・ショーケースを主催した槙野・小風両氏がそれぞれ主催するRE. F. WorkshopTokyo Digital Historyの紹介も行われ、大学院生による自主的なコミュニティ運営活動が活発に行われている様子が共有されました。

そして、このようなコミュニティ運営の先駆的活動として、Twitterで有名な「せんだい歴史学カフェ」の紹介も行われました。

sendai_hist_cafe

このような活動を通して、歴史研究の面白さ・奥深さ・幅広さがますます発信されていくだろうという確信を胸に、いつものように参加者のみなさんは二次会へと向かわれたようでした。

さて、以下では、当日のスピーカーに対し、アンケートを実施しました。回答から内容を一部紹介します。

 

  1. 準備と発表を通して楽しめたこと、苦労したこと

【楽しめたこと】

  • 原稿フィードバックを踏まえて改善する過程が楽しかった

  • [原稿フィードバックでの]コメントを考慮した上で、「いかに説得力を増すことができるか」を主眼に原稿を調整するというのが、一番刺激的かつ興味深い部分であった

  • 当日の参加者と交流を持てたこと、また他の発表者の方々と意見を交換できたこと

【苦労したこと】

  • 専攻の異なる人々に、8分という短時間で、しかも英語で議論をまとめて説明するという点に最も苦労した

  • 英語発表、およびレジュメ無しでの発表に独特の話の運び方・論の組み立て方に苦労した

  • 自分の言いたいことをいかにうまく英語で表現するか、ニュアンスが伝わるか、あるいは構成全体についても悩みながら模索した

  1. Research Showcaseへの参加が今後のキャリアと研究にどのように役にたちそうか (一部抜粋)

  • 「アカデミックな英語の文章を添削してもらえたのは初めての経験で、ロジックの立て方や細かい文章表現まで指導いただき、勉強になりました。今後は留学や国際学会への参加にもこの経験が役立つと思いますし、招聘外国人による報告など、国内で外国語でコミュニケーションを取る際にも力になると思います」
  • 「これまで海外における研究報告の機会を持たなかった修士課程の学生にとって、どのような点に留意するか、どのような基準が求められているかを経験として積むことのできる大変貴重な機会だった。原稿フィードバックに関しても、発表タイトルの検討に関しても、意見交換を通してリアルタイムに検討し、アドバイスをいただけたので、開催当日以前も実際に顔を合わせているような親身さでサポートしていただけた」

  • 「1. 今後どのような発表の場に参加すべきか/すべきでないか、を判断する上での参照点になる。2. 原稿へのフィードバックを総合していく練習になる」

  • 「分野的に(日本に同業者がいない)、日本よりも海外での発表が重要になるので、議論のスムーズ化・英語でのQ&Aへの事前の対策などは非常に技術的に勉強になった。原稿フィードバックも簡明で分かりやすく、自分では気づきづらい点を指摘して頂くことができた」

  • 「自分の研究内容・成果を英語で表現する機会に恵まれたことは、今後遠からず発生する海外研究者とのコミュニケーションを前に良い準備運動となりました。自分の研究成果を、端的に論点をまとめる形で整形しなおし、かつそれを英語化することは、国際発信の第一歩としては非常に重要であるため、自発的にそれを行う機会を頂けたことを、大変嬉しく思っています。またその英語化に際して、先人の方々から多くのフィードバックを受けることができたのは、ライティングスキルを見直す上で非常に役立ちましたし、実際の発表時における質疑応答では、オーラルスキルの課題を浮き彫りにすることができました」

  • 「他の発表者や参加者とのコネクション作りの場にもなった。普段接点のない他大学・他分野の若手研究者と交流できた」
  • 「海外で自身の研究発表をするにあたり、原稿づくり・質疑応答等のノウハウは勿論、若く志ある方々がイベントを作り上げているという刺激自体が大きなモチベーション向上になった」

まとめ

7人全員のスピーカーが使い慣れない言語で発表を準備し、事前のフィードバックや質疑応答を通して多くの学びがあったことと思います。

オーディエンスとして参加して下さった方の中には、今後スピーカーや運営委員として参加を希望する声も多くいただきました。これからは、本ワークショップの方法を歴史・人文科学の諸分野に応用するできるのではないかと期待しております。

こうした活動をとおして我が国の歴史学・人文科学を少しでも盛り上げていくことができれば、歴史家ワークショップの運営者一同として喜ばしい限りです。

我々は、このビジョンを共有し、一緒に歴史家ワークショップが開催するイベントを良くしていこうと思っていただける方との協働を模索しています。運営と言っても様々な関わり方がありますので、ご自身にできる範囲で活動に参加したいと思える方は、ぜひご連絡をいただければと思います。心よりお待ちしております。