2018年9月11日 Early Career Conference 開催報告

Research Showcaseの関連イベントとして、2018年9月11日にEarly Career Conferenceを開催しました。大学院生からポスドクまでのキャリアステップにある若手研究者の報告会で、歴史学研究者がカンファレンスにおける研究発表と司会進行(チェア)の経験を積むことを目的とするものです。

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初回にあたる今回は、東京のほかにシンガポールや香港、スコットランドから国際色豊かな6名のスピーカーが集まりました。東アジア経済史のポスドク研究員ラッサーン・モアッジン氏による30分の基調講演のあと、博士課程・修士課程の大学院生にそれぞれ20分の持ち時間で研究内容を報告していただき、すべての発表に20分間のQ&Aセッションを設けました。

加えて、若手研究者の発表スキル向上のために、当日の朝にすべての発表者が司会と発表のリハーサルを行い、相互にフィードバックを行いました。これによって、参加者全員が話し方や発表の構成、スライドの表現について改善案を学ぶことが出来ました。

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当日の運営は東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻の貝原伴寛(博士課程・フランス近世史)と照井敬生(修士課程・イギリス文化政策研究)が担当しました。専門分野もキャリアも異なる若手研究者・学生が一緒に発表をするという試みながら、合計で約20名の参加者が集まり、打ち解けた雰囲気で、各セッションの質疑応答は大いに盛り上がりました。

懇親会では、細かい専門分野を超えて若手研究者が国際的にネットワークを築く必要性を再確認し、上海・シンガポールの学生も今後同様の活動に取り組む意志を見せていました。

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以下報告者向けにおこなったアンケートの回答を抜粋して紹介します。

今回の報告会で学んだこと、楽しいと感じたこと

  • 「リハーサルセッションと打ち解けた社交の時間に加えて、学会本番中での、国際色ある聴衆との質疑応答から多くを学び、楽しむことが出来た。専門外の研究者から飛んでくる鋭い質問の数々を受け止めるのは素晴らしい経験だった」
  • 「幅広い研究者の前で自分の研究成果を発表し、彼らと知り合うことが出来たのは喜ばしい経験だった」
  • 「特に印象的だったのは、国際的な今回のプラットフォームに、熱意ある若手歴史学者が世界中から集まって意見交換を行い、親睦を深めていることだった。これは若手研究者にとって大きな励みになると思う」
  • 「他の若手研究者と知り合うことが出来たのは非常に有益な経験だった。研究の話のみならず、若手人文学者の状況についてもっといろいろと話していたかった。参加者同士で問題や関心を共有しており、お互いに助け合うことが出来ると思う」

本報告会への参加が今後のキャリアと研究にどのように役に立ちそうか

  • 「今回の会議は、若手研究者にとって非常に役立ち、知的に得るものが多い環境だった。私自身が将来は他の研究者とこうした場を築いていきたいと思う」
  • 「今後とも同様の趣旨の国際会議に参加していこうと思う」
  • 「リハーサルを通じて発表の技術と発表内容を磨いたうえで、発表の経験を積むことが出来たのがよかった。発表に対する質問も会議そのものも協力的で建設的なもので、将来の研究に大いに役立ちます」

まとめ
今回のEarly Career Conferenceは、若手研究者が、国際学会での発表に必要な経験と会議運営の技術を身に付ける舞台を用意することを目的として始まった企画でした。結果として、多様な研究関心とバックグラウンドの研究者による活発な意見交換と研鑽の場を参加者全員で作ることが出来ました。

我々は、歴史学・人文科学の国際的な発展に貢献するべく、今後とも多様なイベントを企画・実施していく予定です。
運営の貝原・照井はともに、今回のイベントのためにHistorians’ Workshopに初めて加わり、企画・運営を一から行いました。報告者の募集から広報資料の作成、会場の準備など、普段参加しているような学会の舞台裏を体験することができました。複数の参加者と連絡をとっていくことや、当日の進行のペース配分など、大変に思われたこともありますが、今後の学会の企画や運営に必要不可欠な経験を積めたと感じています。

Historians’ Workshopは今後とも新たな企画を立案・実施していきます。企画・運営に携わっていただけるという方々は、是非ともご連絡ください。