Research Showcase

2018年2月22日 第5回リサーチ・ショーケース開催報告

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第5回ワークショップとして2018年2月22日に開催されたResearch Showcaseでは、東欧史、科学史、フランス史、中国史などの諸分野から7名のスピーカーが集まり、それぞれの研究テーマについて8分で発表して頂き、7分間のQ&Aを行いました。

多くの発表者が初めて英語で発表をしたこともあり、緊張感がただよいつつも刺激に満ちた会になったと思います。当日は早稲田大学助教の正木慶介さん(イギリス政治史)が司会進行を行い、参加者は全体で約30名と主催者の予想を上回り、活発な議論につながりました。最後は井野瀬先生、パガネリ先生に今回のイベント全体のコメントを頂き、効果的なプレゼンテーションの仕方など実践的なアドバイスも頂けました。

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当日はオーディエンスによる投票により、博士号未取得者の中から、もっとも優秀な発表をしたスピーカーにResearch Showcase Prizeが授与されました。

栄えある受賞者は、東京大学大学院法学政治学研究科 史志強さんです。

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清朝中国の司法制度の実態に切り込む意欲的な研究発表をされた史さんは、スライドを効果的に使いつつ、身振り手振りを交えて明快に伝えておられました。専門外のオーディエンスにも研究のインパクトを伝えられたことが、受賞の決め手となったように感じました。

受賞者の発表は、報告終了後ワインを飲みながら慶応大学の赤江雄一さん(西洋中世史)が執り行いました。

 

また、当日報告者に対し、アンケートを実施しました。以下、回答から内容を一部紹介します。

  1. 準備と発表を通して楽しめたこと、苦労したこと

【楽しめたこと】

  • 最初は上手く表現できなかった自分の主張が、段々輪郭をはっきりとさせていく感覚を得られたこと。
  • 少ない時間でいかにクリアに論点を提示できるかを考える工程がもっとも楽しめた。
  • 研究発表(準備開始から当日の質疑応答まで)が、本来的に自分の研究自体の問い直し・改良を進めるプロセスなのだということを、今までになく強く実感できたこと。
  • [事前のフィードバックによって]論点の打ち出し方・構成などが劇的に変わっていったこと――研究というのは、実にクリエイティブな作業の積み重ねなのだとつくづく感じた。

 

【苦労したこと】

  • 原稿の構成を8分という短い時間に適切な形に仕上げること。
  • 添削コメントをいただいた後に、時間制限を意識しつつ情報を取捨選択する作業。
  • 詳しく説明すべき部分と、端的に示すだけで十分な部分の割り振りが困難でした。

 

  1. Research Showcaseへの参加が今後のキャリアと研究にどのように役にたちそうか (一部抜粋)

  • 「英語報告に対する不安感が減り、国際学会での報告・投稿意欲が高まりました。また、専門分野外の人たちとの交流が、自身の研究の進展にとって内在的な意味を持つことを実感しました。原稿へのフィードバックは文法事項から論旨の整合性にまでおよび、研究内容を英語で表現する際の基本姿勢を学びました。」
  • 「国際学会での発表は、ほとんど視野になかった。面白そうな企画だから、ふと、挑戦してみたいという気になり、結果、国際学会へのエントリー用ドラフトが書けるコツがわかってきた。これは、すごいこと。これからの取り組み姿勢が根本的に変わった。」
  • 「自分がこれまで、「示唆」に落とし込めればOK的な日本式論文にいかに依存してきたかがわかった。論理的な記述を要求する英語という言語で書いて発表したことは、博論やほかの論文をまとめていく上で大きな恵となった。」
  • 「原稿・発表へのコメントを頂き、自己満足の発表ではなく人に聞いてもらえる発表をすることの重要性や工夫を学ぶことができたので、英語や日本語を問わず、あらゆる発表の場で活かしていきたいと思います。特に原稿へのフィードバックでは、短い時間内で伝えたいことをどのような構成・示し方で提示すれば有効的に伝えられるかをご教示頂きました。」
  • 「留学した際、あるいは留学の準備をする際に自分の研究を紹介することが容易になった。」
  • 「語学力の向上は失敗の繰り返しからしか身につかないと改めて痛感し、失敗も多かったが、この失敗なくしては次の失敗に至ることもできないのだと思うと、今回の報告に臨めたことは自分のキャリアにとっては確かな前進であったと感じる。原稿へのフィードバックは、指摘が言語問わず重要な構成な面にまで及んでいて、非常に参考になった」

 

まとめ

7人全員のスピーカーが使い慣れない言語で発表を準備し、事前のフィードバックや質疑応答を通して多くの学びがあったことと思います。

オーディエンスとして参加して下さった方の中には、今後スピーカーや運営委員として参加を希望する声も多くいただきました。これからは、本ワークショップの方法を歴史・人文科学の諸分野に応用するできるのではないかと期待しております。

こうした活動をとおして我が国の歴史学・人文科学を少しでも盛り上げていくことができれば、歴史家ワークショップの運営者一同として喜ばしい限りです。

我々は、このビジョンを共有し、一緒に歴史家ワークショップが開催するイベントを良くしていこうと思っていただける方との協働を模索しています。運営と言っても様々な関わり方がありますので、ご自身にできる範囲で活動に参加したいと思える方は、ぜひご連絡をいただければと思います。心よりお待ちしております。