フランス語版リサーチ・ショウケース Ma recherche en 8 minutes 開催報告

2021年2月22日に、第1回フランス語リサーチショウケース : Ma recherche en 8 minutes をオンラインで開催しました(プログラムはこちら)。当日の様子を、本ワークショップのスピーカーの一人である須田永遠さんが報告してくださいました!

フランス語での初開催となった今回のリサーチ・ショウケースでは、政治史、宗教史、思想史、美術史、教育史、文学と、実に多くの専門をもつ9名のスピーカーが集まり、それぞれ8分間で自身の研究のエッセンスを紹介したのち、7分間の質疑応答にのぞみました。

当日の司会は、名古屋大学教授で18世紀科学史がご専門の隠岐さや香先生が、コメンテータは国際日本文化研究センター教授で、比較文学比較文化・文化交流史がご専門の稲賀繫美先生が務めてくださり、常時40名以上の参加者によって活発な議論が交わされました。

会の最後には、オーディエンスの投票により、発表内容や構成・議論の進め方等に基づき Research Showcase Prize の受賞者が選ばれ、今回はフランスの初期写真史について発表された、東京大学大学院博士課程1年の鈴木実香子さんが受賞されました。

日本で研究を行う仏文研究者にとってフランス語で発表する機会はそう多くありません。私自身、留学を経験し、大学院でフランス文学を学ぶ身でありながら、帰国後はフランス語で発表する機会(そして質疑に対し応答する機会)はほとんどありませんでした。また、自分の研究を8分という短い時間にまとめ、他の専門分野の方に伝えるには、普段の研究発表とは別の組み立て方が必要になります。

参加を決めたものの、当初はフランス語で発表することへの恐怖——何より質疑応答の7分間、質問に答えられない不安より質問そのものを聴き取れない恐怖——とプレッシャーに苛まれていたのですが、発表前にスピーカーのみなさんと顔合わせをした際、だれひとり例外なく緊張していることを知ってやや安堵するとともに、イベントがはじまってからは司会の隠岐先生から「質問を聞き直すことを一切ためらう必要はない」というスピーカーの指針が周知徹底されたこと、また、ギャラリーのあたたかな雰囲気が背中を押してくれました。イベント中は終始司会の隠岐先生をはじめ、コメンテーターの稲賀先生や参加者の多くがイベントを良いものにしようという意志を持ち、発表者の論点を尊重しながら鋭い質疑と真摯な応答が交わされたように感じます。みな外国語で研究の要点を発表することの困難と苦労を分かち合っているからこそ、このような素晴らしい場になったのだと確信しています。

今回のリサーチ・ショウケースで最も印象的であったこと、それは意見を述べることがそのまま相手の感情や信頼を損なうことを意味しない、すぐれて‘‘成熟した’‘場であったということです。こうした場に立ち会うことのできる機会をいただいたことを司会、コメンテータの先生方、運営委員の方々、レビュワーの先生方、参加者のみなさまに心より感謝いたします。どうもありがとうございました。


そして、今回発表されたスピーカーの方々には、後日アンケートに回答していただきました。以下では、その一部をご紹介します。

準備と発表を通して楽しめたこと、苦労したこと

楽しめたこと:外国語でアウトプットするという作業そのもの。留学経験がなく、キャリアが浅いと、なかなかこういった機会はないが、今回の機会を頂いて2ヵ月少々、準備期間は常に楽しめた。
苦労したこと:何よりも時間制限への対応。しかし、8分で報告を完結させるという経験を通じて、外国語での発表練習に留まらないそれ以上のものを得られた気がする。

(苦労したこと)フランス語で発表する一方、聞き手が日本人(それも異分野の研究者)である点で、用語の選定や説明の方法に苦労しました。稲賀先生も指摘されていましたが、研究者としてフランス語で何かを発表するときには、「フランス語圏出身」という背景を持つ人を相手にすることが想定され、日本人の発表者としての研究の特徴などを意識して発信することになると思います(もちろん第二言語としてフランス語を使う人口も多いので、この限りではないですが、英語に比べれば頻度は高いと思います)。原稿を書き始めた時、まずこの問題に直面して、消化しきれずに終わってしまいました。研究者として今後も考えて行かなければならない問題だと思います。

フランス語で学術的な文章を書くのがほとんどはじめてのことだったので、やはり初稿の作成に一番苦労しました。これにだいたい、10日間くらいかかりました。その後、レビュアーの先生からコメントをいただくのですが、これを読むのがとても面白かったです。というのも、文法や表現に限定されないコメントによって、蒙がひらかれ、今後の課題がよく見えるようになったからです。

今後の参加者と共有できそうなこと

もし可能なら、ネイティブ相手でなくとも良いので、リハーサルをする。発音を直してもらえたり、PowerPointの不備を指摘してもらえたりと、発表の質が上がる。
もし原稿の執筆過程で削ったところがあるのなら、質疑応答に備えて残しておく。「発表に欠けている部分」であることに変わりないので。
他の発表者のレベルが想像以上に高かったとしても、凹まない。分野も異なれば、キャリアも違う。乗り切った自分たちを褒めるべき。

限られた時間の中で自分の研究の要点を伝えるにあたって、情報を適切に取捨選択すること。

リバイズのときに、こんな質問がくるかも、ということを考えながら、何を残し、どこを削り、あるいはここは補足説明を足す必要がある、などを考えることは、当日の質疑の緊張対策としても、表現の幅を広げるうえでも有益でした。

Research Showcase への参加が今後のキャリアと研究にどのように役に立ちそうか

自分の研究の要点をフランス語でまとめる(かつ、覚える)ことになったので、留学や国際学会でストレスなく会話が出来そう。
フィードバックでの指摘を受けて、ざっくり削る勇気を持てた。自分がこだわりたいところと、聴衆にとって大切な情報とを、分けて考えられるようになった。

今後フランス語圏での発表に向けての練習になったのは勿論のこと、ここまで分かりやすさに拘って報告準備したことは意外になかったので、普段のゼミから学会報告まで、あらゆる研究報告に向けた意識改革になった。
原稿のフィードバックでは、簡潔明瞭さを意識しつつも、口頭報告ではどの語を指すか聞き手に考えさせてしまうような代名詞の使い方は避けねばならない、という教訓を得た。

仏語での執筆や発表がはじめてだったので、出来栄えはともかく、それをやり遂げることができたことに自信をもつことができました。今後、国内外での発表に挑むための経験を積むことができたかなと思います。


まとめ

以上、フランス語版リサーチショウケースは初回開催でしたが、日本各地、そしてフランスやスイスからの多くの参加者を得て、盛況のうちに終えることができました。隠岐先生、稲賀先生をはじめ、レビュアーとして発表者の原稿に多くの貴重なご助言を与えてくださった先生方、当日お越しくださった参加者のみなさんに心から感謝いたします。好評につき、フランス語版リサーチショウケースは第2回開催を予定しています。英語版と併せて、次回告知にご期待ください!

【2月22日(月)17:00】第1回フランス語リサーチ・ショウケース : Ma recherche en 8 minutes 開催のご案内【Zoom開催】

[ Version française ci-après ]

【2/10 21:55追記】参加登録フォームのURLに誤りがあり、フォームにアクセスできない状態になっておりました。現在は修正済みです。登録をしようとしてできなかった方は、お手数をおかけしてしまい誠に申し訳ございませんが、再度登録をお願いいたします。

歴史家ワークショップでは、若手研究者が、自分の研究を外国語で発信する機会を提供すべく、Research Showcase を開催しています。発表・質疑応答をすべて外国語で行う本企画は、2016年の第1回開催以降、英語では既に11回の開催実績があり、発表者・参加者の双方に、外国語での学問的コミュニケーションの場を提供してきました。

今回は初の試みとして、フランス語でのリサーチ・ショウケース:Ma recherche en 8 minutes を開催します。司会およびコメンテーターに隠岐さや香先生(名古屋大学/科学史)、ゲストコメンテーターに稲賀繁美先生(国際日本文化研究センター/比較文学比較文化・文化交流史)をお招きし、フランス語での発表スキルの向上をめざす若手研究者を対象に、広義の歴史分野から、広く発表者を募りました。

今回は以下の9人の方が報告を行います。時代は16から20世紀まで、地域はフランスからスイス、アルジェリアまで、分野は政治史や宗教史から思想史、美術史、教育史、文学まで、実に盛りだくさんの内容です。オンラインで開催いたしますので、参加を希望される方は2月20日(金)17時までに 応募フォーム より登録をお願いします。前日までに当日のURLをメールでご案内いたします。

当日は多くの方々のご参加と刺激的な議論を、歴史家ワークショップ一同、心よりお待ちしております。

プログラム Programme

米倉美咲 Misaki Yonekura, Université de Kyoto
L’émergence de l’opposition protestant-catholique dans la France du début du XVIe siècle

伊藤連 Ren Ito, Université de Tokyo
Méthode d’historiographie : lire le Discours sur l’histoire universelle (1681) de Jacques-Bénigne Bossuet

村山雄紀 Yuki Murayama, Université de Waseda
La machine et l’harmonie : discours historique sur la peinture française du XVIIIe siècle

大屋戸しおり Shiori Oyado, Univeristé de Tokyo
La mode de la peinture d’intérieur au début du XIXe siècle

鈴木実香子 Mikako Suzuki, Université de Tokyo
Entre artiste et entrepreneur : redéfinir l’image du photographe primitif en France (1839-1879) 

酒田義之佑 Yoshinosuke Sakata, Université de Tokyo
La condition de la poésie — relecture de « Crise de vers » et « L’Action restreinte » de Stéphane Mallarmé

須田永遠 Towa Suda, Université de Tokyo
Le tableau vivant dans la pensée de Pierre Klossowski

天野佑紀 Yuki Amano, Université de Kyoto
La remise en cause de la guerre d’Algérie dans une perspective saharienne, 1954-1962

藤井碧 Ao Fujii, Université de Kyoto
Les sources historiques de l’enseignement des langues basé sur le plurilinguisme en Suisse: Examen des archives politiques de 1970 à 1995

開催詳細

日時: 2021年2月22日(月)17:00-20:30
会場: オンライン(Zoom)
司会・コメンテーター: 隠岐さや香(名古屋大学)
コメンテーター: 稲賀繁美(国際日本文化研究センター)
フォーマット: 一人あたり、発表8分+質疑応答7分
使用言語: フランス語
参加費: 無料
参加登録フォームhttps://forms.gle/ea9uFdTnGuyxrqVHA (登録締切:2021年2月20日(金)17時)
ポスター: ダウンロードはこちら

運営委員(五十音順)

隠岐さや香(名古屋大学)
鈴木実香子(東京大学・院)
古川萌(東京大学)
吉川弘晃(総合研究大学院大学・院)
歴史家ワークショップ事務局

問い合わせ先: moefurukawa[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp (事務局担当)


Invitation à l’atelier « Ma recherche en 8 minutes »

Historians’ Workshop organise la première édition de Research Showcase en français : Ma recherche en 8 minutes, le 22 février 2021 de 17h à 20h30 (Zoom, visioconférence).

Ce concours permet aux étudiants et étudiantes en histoire au sens large de développer leurs aptitudes en communication. Les communications seront en français et dureront 8 minutes suivies d’une période de 7 minutes de questions de la salle ou des professeurs invités: Prof. Sayaka Oki (Université de Nagoya) et Prof. Shigemi Inaga (Centre international de recherche pour les études japonaises). 

Les présentations de cette première édition recouvrent une grande variété d’époques (XVIe-XXe siècles), régions (France, Suisse, Algérie) et domaines (art, littérature, politique, philosophie, éducation…). Cette diversité questionne la capacité du jeune chercheur à rendre compréhensible sa recherche face à un auditoire non spécialisé sur ses propres thématiques.

Cet atelier se tiendra en ligne (Zoom). Si vous souhaitez y assister, merci de remplir le formulaire suivant avant le vendredi 20 février 2021 : https://forms.gle/ea9uFdTnGuyxrqVHA

Un lien vous sera envoyé par mail avant l’atelier.  

Nous attendons votre participation et des discussions passionnantes.

Comité d’organisation

Sayaka OKI, Université de Nagoya
Mikako SUZUKI, Université de Tokyo
Moe FURUKAWA, Université de Tokyo
Hiroaki YOSHIKAWA, Centre international de recherche pour les études japonaises (Nichibunken) – SOKENDAI

Historians’ Workshop

Contact: moefurukawa[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp

【報告者募集】第1回フランス語リサーチ・ショウケース : Ma recherche en 8 minutes 開催のご案内

Version française ci-après

歴史家ワークショップでは、若手研究者が、自分の研究を外国語で発信する機会を提供すべく、Research Showcase を開催しています。発表・質疑応答をすべて外国語で行う本企画は、2016年の第1回開催以降、英語では既に11回の開催実績があり、発表者・参加者の双方に、外国語での学問的コミュニケーションの場を提供してきました(なお2021年2月18日に第12回の英語での開催を予定しています)。

今回は初の試みとして、フランス語でのリサーチ・ショウケース : Ma recherche en 8 minutes を開催します。司会およびコメンテーターに隠岐さや香先生(名古屋大学/科学史)、ゲストコメンテーターに稲賀繁美先生(国際日本文化研究センター/比較文学比較文化・文化交流史)をお招きします。フランス語での発表スキルの向上をめざす広義の若手研究者を対象に、歴史・文化史・科学史・思想史・美術史・社会経済史・歴史地理・文学等のあらゆる歴史分野から、広く発表者を募ります。発表者の選考に当たっては、フランス語での発表経験の少ない方を優先し、所属・学年・専門領域・ジェンダーバランスを考慮します。様々な専門分野の研究者から、自分の研究に対するフィードバックが得られる貴重な機会です。ぜひご応募ください!

※過去のリサーチ・ショーケース(英語)はこちら:Research Showcase

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日   時 : 2021年2月22日(月) 
会   場 : オンライン(Zoom) 
司会・コメンテーター:    隠岐さや香(名古屋大学)
コメンテーター: 稲賀繁美(国際日本文化研究センター)
フォーマット: 一人あたり、発表8分+質疑応答7分
使用言語  : フランス語
応募条件  : 学部4年生以上の広義の歴史研究者
募集人数  : 8名程度
参加費   : 無料
応募方法  : 発表希望者は、2020年12月18日(金)17時までに以下の応募フォームに記入し、送信してください
URL    : https://forms.gle/B44XjyfyAxfDn9jt9 
ポスター  : ダウンロードはこちら********************************************************************************

リサーチ・ショーケースの特長

1)発表原稿への事前のフィードバック
発表者は、開催日の2週間前に発表原稿を提出することで、ワークショップメンバーから事前にライティングや構成についてフィードバックを受けることができます。このため、ライティングスキルが向上し、発表にも自信をもって臨むことができます。当日は、参加者とコメンテーターからフィードバックも得られるでしょう。

2)優れた発表にプライズを授与
博士号未取得の発表者の中から、最も説得力のある発表をした方にプライズを授与します。フランス語の流暢さではなく、研究内容がどれだけスムーズかつ力強く伝わるかを基準とします。

運営委員(五十音順)

隠岐さや香(名古屋大学)  
鈴木実香子(東京大学・院)        
古川萌(東京大学)
吉川弘晃(総合研究大学院大学・院)
歴史家ワークショップ事務局  
問い合わせ先:moefurukawa[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp (事務局担当)

Appel à participation au concours : Ma recherche en 8 minutes

Historians’ Workshop organise la première édition de Research Showcase en français : Ma recherche en 8 minutes, le 22 février 2021 (Zoom, visioconférence).  

Ce concours permet aux étudiants et étudiantes en histoire au sens large de développer leurs aptitudes en communication. Les communications seront en français et dureront 8 minutes suivies d’une période de 7 minutes de questions de la salle ou des professeurs invités: Prof. Sayaka Oki (Université de Nagoya) et Prof. Shigemi Inaga (Centre international de recherche pour les études japonaises). Chaque étudiant ou étudiante doit faire un exposé clair, concis et convaincant sur son projet de recherche. Pour participer à cet événement, vous devez envoyer une proposition d’environ 150 mots, avant le 18 décembre 2020 à 17 heures (heure de Tokyo) à l’aide du formulaire d’inscription suivant : https://forms.gle/B44XjyfyAxfDn9jt9

Nous encourageons les propositions d’étudiants et étudiantes en histoire au sens large de tous les niveaux, à partir de la quatrième année de licence jusqu’au doctorat.

Calendrier :

  •  18 décembre 2020 : date limite d’envoi des propositions
  •  25 décembre 2020 : décision du comité
  •  22 février 2021 : concours

Le comité d’organisation :

Sayaka OKI, Université de Nagoya
Mikako SUZUKI, Université de Tokyo
Moe FURUKAWA, Université de Tokyo
Hiroaki YOSHIKAWA, Centre international de recherche pour les études japonaises (Nichibunken) – SOKENDAI
Historians’ Workshop
Contact : moefurukawa[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp