Tokyo Digital History

Tokyo Digital History第1回研究会開催のお知らせ


Tokyo Digital Historyでは、2021年1月よりオンラインで定期的に勉強会を開催します。第1回の詳細は、以下の通りです。少し日程が近くなってしまっており、またお忙しい時期かと思いますが、ご都合の合う方、ぜひお気軽にご参加ください。
議論のアーカイブなどは、Tokyo Digital HistoryのGitHubで公開していきたいと思います。過去に開催した内部の勉強会での議論はこちらからご覧いただけます。https://github.com/tokyodigitalhistory/readings/issues

*Tokyo Digital Historyとは
これまでのTokyo Digital Historyの活動は、こちらのページからご覧いただけます。
https://historiansworkshop.org/category/other-event/tokyo-digital-history/

*日時
2021年1月29日(金)14時~16時

*開催方式
Zoomによる同時双方向通信

*想定参加者
デジタル時代の歴史学、デジタル技術を取り入れた歴史研究の可能性と課題、といった論点に関心のある方、学部学生・大学院生・若手研究者・中堅シニアの研究者の方まで、幅広くご参加ください。

*参加申込方法
以下のGoogle Formに情報を入力ください。ご連絡先のメールアドレスにZoomのミーティングURLをお送りいたします。
https://forms.gle/jiASzbh3V6RWYF7w7

*内容
今回は、参加者の自己紹介から始めて、Melissa Terras et al., eds., 2013, Defining Digital Humanities: A Reader, Ashgate のうち、Section III: From the Blogosphereから次の3つのエッセイを題材に議論したいと思います。どれも短いエッセイです。
・Lincoln Mullen, ‘Digital Humanities is a Spectrum, or “We’re All Digital Humanists Now”‘
・Stephen Ramsay, ‘On Building’
・Mark Sample, ‘The Digital Humanities is not about Building, it’s about Sharing’
ちなみに、この本は http://ccftp.scu.edu.cn/Download/505594d1-330f-4831-94a1-ec87d218345a.pdf から全文PDFをダウンロードできます。

*お問い合わせ
小風尚樹(Tokyo Digital History代表・千葉大学人文社会科学系教育研究機構助教)|n_kokaze[at]chiba-u.jp

Revising your Drafts

【参加者募集】Front Runner Series: 英語論文執筆セミナー Vol. 6(1/28 17:00-18:30)

歴史家ワークショップでは、1月28日(木)17:00~18:30(日本時間)に、「Front Runner Series: 英語論文執筆セミナー Vol. 6」と題したオンライン・セミナーを開催いたします。また同日18:30~19:30には、任意参加の懇親会を予定しております。

このセミナーでは、ノンネイティブの若手研究者が直面する「英語論文執筆における壁」を認識し乗り越えることを目指し、英語論文の執筆術から異なるフォーマットの学術アウトプット(博士論文・単著・編著の一章分担当など)の書き分け方・書き換え方といった応用技術まで、歴史分野で活躍するノンネイティブの若手研究者の体験談を交えながら、理解を深め、実践のための知恵を蓄積することを目的とします。

今回は、東京大学東洋文化研究所特任研究員の神田惟さんをお招きし、大津谷馨(リエージュ大学・博士課程)がファシリテーションを担当します。英語での論文執筆・投稿における目標や工夫・苦労、イギリスでの留学を含む海外での研究生活の経験と修士論文・博士論文の執筆、これまでのアカデミック・キャリアの歩みなどについて、ざっくばらんにお話いただきます。

ご関心のある方は、ぜひお気軽にご参加ください。

開催概要

対象|主に歴史学系の院生・研究者
費用|無料
場所|オンライン開催(Zoom使用)
日時|1月28日(木)17:00~18:30:セミナー/18:30~19:30:懇親会(任意参加)

スピーカー・プロフィール

神田惟リサーチマップ
東京大学東洋文化研究所特任研究員。2015年、オックスフォード大学東洋学研究科哲学修士課程イスラーム美術・考古学コース修了、2018年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学。2020年11月に同研究科に博士論文を提出。日本学術振興会特別研究員(DC1)、米ハーバード大学アガ・カーン・プログラム訪問院生研究員を経て現職。研究関心は、①中世エジプトにおける窯業史、②近世イランにおける工芸・詩芸・死者追悼・聖者崇敬の関わり、③近代日本におけるイスラーム美術工芸品の受容史。
主な論文に、“Kashan Revisited: A Luster-Painted Ceramic Tombstone Inscribed with a Chronogram Poem by Muhtasham Kashani,” Muqarnas 34, no. 1 (2017): 273-86 など。第39回日本オリエント学会奨励賞(2017年度)、第27回鹿島美術財団賞(2020年度)を受賞。

参加登録

参加をご希望の方は、こちらのフォームよりご登録をお願いいたします。

Other Event, Skills Workshop

【開催告知】日本史史料英訳ワークショップ第四回「近代史料の回」

開催趣旨

日本史史料英訳ワークショップ「近代史料の回」を1月9日(土)に開催します。

第四回となる今回は、明治維新後の日本社会が経た変化を映し出す近代史料に注目します。今回の焦点は「公私」と「風流」という2つの語句です。「公私」については福澤諭吉『文明論之概略』の一部を、「風流」については茶の湯をめぐる当時の新聞記事を用い、それらの語句に込められた意味をどう解釈し、どう英訳できるのかを考えていきます。講師として、日本近代史を専門とするアミン・ガデミ氏(宇都宮大学)をお招きします。史料の選定やコメントは、池田真歩氏(北海学園大学)と押切貴氏(西インド諸島大学モナ校)が担当します。

開催概要
対象|歴史学、文学、言語学、翻訳学分野を中心とする研究者
費用|無料
使用言語|日本語
場所|オンライン開催(Zoom使用 要参加登録
日時|2021年1月9日(土)10:00~12:00(日本時間)

検討史料
・福澤諭吉『文明論之概略』(1875年)第10章「自国の独立を論ず」
・「風流な芸妓」(『読売新聞』1884年10月22日)、「紀念(かたみ)の釣りだな:老翁の風流」(同1902年11月30日)

講師
アミン・ガデミ(宇都宮大学)

史料担当
池田真歩(北海学園大学)
押切貴(西インド諸島大学モナ校)

司会
黄霄龍(東京大学)

参加申込はこちら https://forms.gle/rfBmaVmHXdWQxGvL8 から。締め切りは1月7日(木)正午12時。参加者には7日の夕方頃に史料の訓読・現代語訳・英訳を配り、zoomのリンクを案内いたします。

問い合わせ先:黄霄龍 hxiaolong[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp

Other Event

【参加者募集】オンラインミートアップシリーズ Coffee Time Series 第3回「アカデミア外の仕事と研究」12/11 (金) 17:00-

12月11日(金)日本時間17時から、歴史家ワークショップ主催のオンラインミートアップシリーズ ‘Coffee Time Series’ の第3回を開催します。本シリーズでは、気軽に研究の楽しさや研究にまつわる悩みを共有し助け合える場を作ろうと、国内外の博士課程に在籍する5人の大学院生が中心となって運営を行なっています。一連のイベントを通じて、孤独に研究する大学院生・研究者が分野を横断して集まることができ、またアカデミアの外にいる方々とも人間的なつながりを構築することができればと願っています。

第3回となる今回は、「アカデミア外の仕事と研究」をテーマに、赤﨑眞耶(ポール・ヴァレリー(モンペリエ第三)大学)がファシリテーションを担当し、Google 社に勤務されている中村優子さんをゲストにお招きします。中村さんには、博士論文執筆中から一般企業でお仕事をされていた経験にもとづいて、研究と仕事との両立や、就職までの道のり、大学での研究と現在のお仕事との関係、アカデミア外で活動して得た気付きなどについてお話しいただきます。特に人文学や社会科学を学んだ博士号取得者が、研究活動で得た能力(企画立案能力、情報を適切に取捨選択する能力、批判的に物事を検証する能力など)を活かす形で多様なキャリアパスを描けるように、中村さんのご経験や現在のご活動から前向きなヒントを得られる場にしたいと考えています。

当日はフロアの皆さんからの意見や質問も交えてのトークを予定しています。週末の夕方、コーヒーやお酒を片手におしゃべりに参加してみませんか?

参加を希望される方には後日 Zoom でのリンクをお送りしますので、12月9日(水)日本時間20時までに、下記の Google Form から参加登録をお願いします。

開催概要

日時|12月11日(金)17:00-18:00(トークとディスカッション)/ 18:00-19:00(都合のつく方で懇親会)(いずれも日本時間)
場所|オンライン開催(Zoom使用)
費用|無料

※イベント(トークとディスカッション)は1時間で終了しますが、その後、都合のつく方で1時間程度の懇親会を予定しています。懇親会は、Zoom のブレイクアウトルーム機能を使った少人数によるフリートークを予定しています。途中退出していただいてもかまいません。

参加登録

こちらからお願いいたします。

参加登録締切:12月9日(水)日本時間20時まで

ゲストスピーカープロフィール

中村優子(なかむら・ゆうこ)
Google 社の User Experience Researcher として、Google マップに関するプロダクトリサーチに従事。建築設計事務所、スタートアップ、デザイン会社での勤務及びフリーランスを経て現職。東京大学教養学部文科Ⅲ類から工学部都市工学科都市計画コースに進学し、学士(工学)。その後、米英に留学経験あり:PhD in Architecture(University of Wisconsin-Milwaukee、フルブライト奨学生)、MArch in Urban Design(Bartlett School of Architecture, University College London)。博士論文のテーマは近代(戦前)東京における女性の移動・公共空間利用行動。これまで PhD 取得後の non-academic キャリアについて、個別にメンタリングを行ってきた。2020年12月から、Humanities Without Walls にて Alumni Advisory Board Member を務める。

LinkedIn:https://www.linkedin.com/in/nakamurayuko/

Other Event

2020-12-10 Roundtable: Historiography on (Early) Modern Religions

当初3月に予定していたRoundtable: Historiography on (Early) Modern Religionsを、12月10日10-13時(日本時間)にオンラインで開催します。無料でどなたでもご参加頂けますが、事前登録は必須となっております。登録サイト:https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZYpcuGorDMrHdCTt3GAIT6msyfUpNxVLE_5

Abstract:
The Protestant Reformation and the Counter-/Catholic Reformation began in early modern Europe, and then reached Asia and the Americas. The “Reformations” of Christianity not only spread globally in the early modern era, but also affected and even shaped modern historiography as an academic discipline in the West as well as Japan. This roundtable will discuss and historicise historiographies on religions, especially Christianity and Buddhism, in early modern and modern Europe, Japan, and North America. By so doing, it attempts to go beyond the barriers between sub-disciplines of Western history, Japanese history, history of Christianity, and history of Buddhism and to seek the current frontier of the history of early modern and modern religions.

概要:
プロテスタント宗教改革や対抗・カトリック宗教改革は、近世ヨーロッパに始まり、アジアや新大陸にまで波及しました。それら複数形の“Reformations”は同時代的にグローバルに拡散したというだけではなく、西洋のみならず日本においても後の近代歴史学の形成に多大な影響を与えました。本ラウンドテーブルでは、近世・近代の宗教を扱う歴史研究において第一線でご活躍なさっている三名の方々にご登壇頂き、ご自身の研究を史学史の中に位置づけて頂きます。そうすることで、西洋史・日本史、キリスト教史・仏教史といった専門の垣根を越えて、近世・近代の宗教を扱う歴史学の営みを歴史的に把握し、2020年現在におけるその最前線を探っていきたいと考えています。

  • Free / Registration Required
  • Time: 10:00-13:00 JST, 10th December 2020 / 19:00-22:00 CST, 9th December 2020
  • Venue: Zoom (registration link: https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZYpcuGorDMrHdCTt3GAIT6msyfUpNxVLE_5)
  • Language: English
  • Speakers: Peter Lake (Vanderbilt Univ.; History of Post-Reformation England), Tomoe Moriya (Hannan Univ.; History of Buddhism in Modern Japan and the United States), Seiji Hoshino (Kokugakuin Univ.; History of Religions in Modern Japan)
  • Chair: Hiroki Kikuchi (Univ. of Tokyo; History of Buddhism in Medieval Japan)
  • Organiser: Genji Yasuhira (JSPS / Musashi Univ. / Utrecht Univ.; History of Christianity in the Early Modern Netherlands)

Speakers’ Info
Peter Lake: https://as.vanderbilt.edu/history/bio/peter-lake
Tomoe Moriya:https://researchmap.jp/read0075458?lang=en
Seiji Hoshino: https://researchmap.jp/Hoshino_Seiji?lang=en
Hiroki Kikuchi: https://researchmap.jp/read0184866?lang=en
Genji Yasuhira: https://jsps.academia.edu/GenjiYasuhira

宗教史研究の第一線でご活躍なさっている三名が一同に介する本ラウンドテーブルは、近世・近代の宗教史研究の過去・現在・未来を分野横断的に議論するためのまたとない貴重な機会です。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

文責:安平弦司

Other Event

【開催告知】日本史史料英訳ワークショップ第三回「金沢文庫文書の回」

趣旨説明

日本史史料英訳ワークショップ「金沢文庫文書の回」を12月5日(土)に開催します。

醍醐寺文書、御成敗式目の回に続き、第三回となる今回は、「金沢文庫文書」を素材とします。「金沢文庫文書」の伝来や内容に注目し、古文書の形態の特徴にも触れながら英訳の検討をおこなう予定です。講師として、引き続きイェール大学のポーラ・カーティス氏(日本中世社会経済史)をお招きします。史料の訓読・現代語訳、及び一部の英訳は、神奈川県立金沢文庫の貫井裕恵氏と三輪眞嗣氏が担当されます。また、ヨーロッパ中世史の視点から、慶應義塾大学の赤江雄一氏からコメントをいただく予定です。

今回は、日本中世古文書の英訳をめぐって、日本と英語圏の日本史研究者の双方向的交流を図るのに加え、日欧の古文書を比較する議論を深めます。また、日本の国宝「金沢文庫文書」の魅力を英語圏に紹介する機会としたいとも考えています。

開催概要
対象|歴史学、文学、宗教学、言語学、翻訳学分野を中心とする研究者
費用|無料
使用言語|日本語
場所|オンライン開催(Zoom使用)
日時|2020年12月5日(土)9:00~11:00(日本時間)
検討史料|「金沢文庫文書」の以下四点

・文保元年(1317)「金沢貞顕書状」(整理番号六〇一、『金沢文庫古文書』番号二八三)
・鎌倉時代「金沢貞将書状」(整理番号七七七、『金沢文庫古文書』番号五〇六)
・正中3年(1326)「金沢貞顕書状」(整理番号六七二、『金沢文庫古文書』番号三七五)
・鎌倉時代「金沢貞顕書状」(整理番号五九七、『金沢文庫古文書』番号二七九)

講師
ポーラ・カーティス(イェール大学)

史料担当
貫井裕恵・三輪眞嗣(神奈川県立金沢文庫)

コメンテーター
赤江雄一(慶應義塾大学)

司会
黄霄龍(東京大学)

参加申込はこちら(https://forms.gle/ZbyXw3jc3a1zpfSV6)から。締め切りは12月3日(水)正午12時。参加者には3日の夕方頃に史料の訓読・現代語訳・英訳を配り、zoomのアドレスを案内いたします。

問い合わせ先:黄霄龍 hxiaolong[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp

Other Event

【ビデオ公開:レクチャー編】Self Care and Peer Support Workshop

歴史家ワークショップでは、新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの大学院生・研究者が、今まで通りに研究を遂行することが物理的・精神的に難しい状況下において、研究上の悩みを共有できる場、セルフケアやピアサポートを通じたストレスコーピングの方法についてのワークショップ開催を求める声を受け、2020年6月25日に「Self-Care and Peer Support Workshop」を開催しました。

当日は、グリーフケアを専門とする一般社団法人リヴオンより尾角光美氏と水口陽子氏を講師として迎え、レクチャーとグループワークという2部構成のワークショップでした。
(開催内容の詳細はこちら!)

前半のレクチャー部分をより多くの方々にお届けできるよう、ビデオ公開することにしました。(プライバシーへの配慮の観点から、参加者のお顔にモザイク加工をさせていただいております旨、ご了承ください。)

いまなお、新型コロナウイルス流行終息の出口が見えず、先が見えにくい状況であることに変わりはありませんが、このような状況下であるからこそ、いつも以上に、自身の心・身体を大切にしながら、日々の生活・研究活動を続けていくための「ちょっとした術(姿勢やスキル)」を、今回のワークショップのレクチャー編(以下のビデオ)からお持ち帰りいただき、ご活用いただけましたら幸いです。

▼「セルフケア」についてと『ピアサポート』

なお、歴史家ワークショップでは、本イベントの趣旨を汲んだ「ピアサポート・プロジェクト」も行っています。ご関心のある方は、ぜひお気軽にそちらの場もご活用ください。

Coffee Time Series第1回第2回、第3回:2020年12月11日開催予定)


(企画担当:藤田風花、紺野奈央)

Other Event

2nd Early Career Conference 開催記録

【会の概要】

2020年8月31日(月)13時より、歴史家ワークショップは第二回 Early Career Conference(以下、本文中ではSECCと略記)を開催しました。

SECCでは、スピーカーとして国内外の研究機関と大学から6名の若手研究者に報告を依頼しました(当日のプログラムにつきましては、こちらをご参照ください)。また、報告とSECC全体に関するコメンテーターとして、同志社大学グローバル地域文化学部の水谷智先生をお招きしました。当日の司会進行は、東京大学大学院総合文化研究科の稲垣健太郎が担当しました。

【開催趣旨】

SECCは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、大規模な学会のみならず、小・中規模の研究会等が全世界的に中止・延期を余儀なくされる状況下、企画・運営されました。本イベントの企画時点でも、オンラインに移行して学会や研究会が開催されています。こうした移行を一時的なものとしてのみ考えるのではなく、新型コロナウイルス感染拡大の影響でアカデミアが直面している様々な変化の一環として捉えつつ、SECCの企画・運営が進められました。本カンファレンスの開催趣旨として、以下の2点を挙げることができます。

1. 上述のような困難な状況においても、国内外の大学・研究機関に所属する大学院生・若手研究者に研究報告の機会を提供すること。また、オンラインでの報告機会が今後増える可能性を考慮し、オンラインでの報告について学ぶ機会を用意すること。

2. 専門分野の知見を必ずしも共有しない、幅広いオーディエンスに向けて研究成果を伝えるにあたり、どのように報告内容を整理し、発表するか。また、報告に対していかに効果的に質問をするか。

英文校閲ワークショップや Research Showcase、2018年に開催された第一回 Early Career Conferenceなど、歴史家ワークショップがこれまで実施してきた試みと同様に、SECCも「幅広い読み手・聞き手に対してどのように研究の核心や新規性、独自性をわかりやすく伝えるか」という点を特に重視しました。

【発表とコメント】

SECCでの報告のテーマは、多様な地域と問題関心にわたりました。以下にそれぞれの報告の概略を示します。

  • 20世紀の上海におけるアメリカ人宣教師の子どもたちが、異国の地でどのようにアイデンティティを形成したのかを、回顧録における食という側面から考察する。
  • 第二次世界大戦後のアメリカにおける国際関係論の学問としての制度化とその背後に垣間見える意図を、ロックフェラー財団とアカデミアの関係に注目しながら明らかにする。
  • 19世紀前半における阮朝の交易を、東南アジア海域史の文脈や西欧諸国との関係性から分析する。
  • 11世紀のグラナダ王国ズィーリー朝君主アブドゥッラー・ブン・ブルッギーンの自伝を中心に、アラビア語文献史における自伝というジャンルやそれらに仮託された書き手の意図を考察する。
  • 20世紀前半のチェコスロバキアにおける共産主義の拡大を、ソビエト連邦という外在的な要因によってではなく、チェコスロバキア内部の要因から分析・説明する。
  • 20世紀のフランスにおける結婚広告の調査を通じて、パートナーに求める要素が即物的なものから非即物的なものへと変化していった、という仮説を検証する。

いずれの報告も、分析の視角や手法・資史料、そこから導かれる帰結の点で興味深いものでした。それぞれの報告者が、先行研究との関係から研究の独自性を打ち出し、研究がより広い文脈において有する含意 (implication) を示すことに成功していました。

報告後の質疑応答では、事実確認に止まらず、どのように研究をさらにより大きな知的文脈に位置付けるか、という点にも議論が及びました。

以上の報告を受けて、水谷先生からは、研究者のキャリアパスの様々な段階において、読み手や聞き手の反応を予想しながら研究成果を発信していくことの重要性、またキャリアのはやい段階で幅広いオーディエンスに向けた報告を意識する必要がある、というコメントをいただきました。

【おわりに】

SECCは、今年度実施されている歴史家ワークショップの他のイベントと同様に、オンラインで開催されました。オンラインでの国際的な学会の企画・運営という経験は、運営に当たった私たちにとっても初の試みとなりました。オンライン開催に伴い、日本のみならず、ヨーロッパやアジアから、合計20人ほどの皆さまにご参加いただきました。

報告を伺い、質疑応答に参加するなかで、私自身が幅広いオーディエンスに向けて報告をする際にどのように情報を整理するか、オンラインで自身の主張を伝える際に、内容的な面のみならず、伝達の方法をどのように工夫するか、という点を考えるきっかけになりました。また、短い時間のなかで、建設的な質問をすることを意識しながら、今後のカンファレンスや学会に臨みたいと感じました。

報告者からは、議論を整理するだけでなく、スライドをどのように効果的に作成するかについても考える機会になったという感想をいただきました。

【謝辞】

末筆ながら、今回のSECCの開催に当たってご協力いただいた共同企画者と歴史家ワークショップの皆さま、CfPとカンファレンスの告知に際してご協力いただいた皆さま、ご多忙のなかコメンテーターを引き受けてくださった水谷先生、そしてご参加下さった皆さまに感謝いたします。ありがとうございました。

稲垣健太郎