Tokyo Digital History シンポジウムの概要情報

【プログラム】
13:00- 開会・趣旨説明
13:15- 基調セッション
13:15- 岡崎敦「デジタル時代の文書学とアーカイブズ学:変容のなかにある史料研究と情報管理」’Diplomatics and Archival Studies in the Digital Age: historical materials and information management in the process of transformation’(九州大学 大学院人文科学研究院 歴史学部門 西洋史学講座/大学院統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻 教授)
13:45- 質疑応答
14:00- 藤川隆男「自然言語処理による新聞データの分析を通じた19-20世紀オーストラリアの公開集会と世論形成の構造の解明」(大阪大学 大学院文学研究科 教授)
14:30- 質疑応答
14:45- 休憩
15:00- 研究発表セッション
15:10- 佐治奈通子・中村覚「歴史学と情報学のより良い協働を目指して:オープンなDH支援ツールを用いたオスマン・トルコ語文書群のデータ整理の一事例」(東京大学大学院 人文社会系研究科 アジア文化研究専攻(アジア史) 博士課程・東京大学情報基盤センター助教)
15:30- 質疑・コメント
コメンテーター:小風綾乃(お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科 比較社会文化学専攻 博士後期課程)
15:40- 田野崎アンドレーア嵐「証書研究におけるTEIマークアップの活用――イングランド王妃アリエノール・ダキテーヌの宮廷随行員の分析を事例に」(東京大学大学院 人文社会系研究科 西洋史学専門分野 博士課程)
16:00- 質疑・コメント
コメンテーター:内川勇太(東京大学大学院 人文社会系研究科 西洋史学専門分野 博士課程
16:10- 濱野未来「中・近世地震史料と計量テキスト分析:分析手法と視角提供ツール」(立命館大学大学院 文学研究科 日本史学専修 博士後期課程)
16:30- 質疑・コメント
コメンテーター:山田太造(東京大学史料編纂所 附属前近代日本史情報国際センター 助教)
16:40- 大邑潤三「歴史災害研究におけるGIS活用の試み」(東京大学地震研究所 特任研究員)
17:00- 質疑・コメント
コメンテーター:山田太造(東京大学史料編纂所 附属前近代日本史情報国際センター 助教)
17:10- 全体討論
17:30 閉会

ご質問・コメントは、Sli.doにて受け付けております(匿名可)。
以下のリンクからevent codeとして#todh2020をご入力ください。
https://www.sli.do/

ご視聴のみなさまには、以下のリンクより参加者アンケートにご協力よろしくお願い申し上げます。
https://forms.gle/vkFwsVQHRNng59Um6

動画と並行して、Twitterでも実況中継しております。#ToDH2020


Tokyo Digital Historyは、歴史家ワークショップの一部として、
2018年より大学院生を中心に活動を始めた研究グループです。
歴史家・アーキビスト・エンジニアの協働により、歴史学にデジタル技術を取り入れていく方法論を模索することを目的としています。
これまでの業績につきましては、以下のリンクからご覧いただけます。
https://historiansworkshop.org/2018/07/09/tokyo-digital-history-業績一覧/

本シンポジウムは、上記の活動のなかで培ったDigital Historyの実践例を、みなさまにお伝えするために企画した第2回シンポジウムです。
第1回シンポジウムでは、歴史学に役立つデジタル技術を中心にご紹介しました。開催報告は以下のリンクで公開しております。
http://hdl.handle.net/2261/00074493

Digital Historyに関心がおありの方は、文学通信より刊行されております『歴史情報学の教科書』がおすすめです。
国立歴史民俗博物館監修 後藤真・橋本雄太編『歴史情報学の教科書 歴史のデータが世界をひらく』文学通信、2019年。
こちらの書籍は、全文がWebにて無料公開されておりますが、お手元にあると便利なハンドブックでもありますので、
ご購入をご検討くださいますと幸いでございます。
https://bungaku-report.com/metaresource.html

第2回にあたる本シンポジウムに出てくるデジタル技術の解説につきましては、
上述の『歴史情報学の教科書』の用語集をご覧いただけますと幸いです。
https://bungaku-report.com/blog/2019/03/post-471.html

Tokyo Digital History シンポジウムのオンライン配信ご視聴のおすすめ

2020年2月23日(日)の2020 Spring Tokyo Digital History Symposium開催にあたってのご対応について補足いたします。

みなさまご承知のように、新型肺炎の影響により、各所でイベント開催が延期になるなどの現状になっておりますが、これを受けて我々としても以下のように対応したいと考えております。

今回、おかげさまで40~50名の方々から事前申し込みをいただきましたが、このまま開催いたしますと、大人数でのイベントとなるため、感染予防の観点から、YouTubeで講演・発表の様子をライブ配信したいと考えております。これにより、会場にお越しいただかなくとも、シンポジウムでの発表の様子をご覧いただけるようにしたいと考えております。

下記のUTDH(東京大学人文情報学部門)のYouTubeチャンネルにて、当日のライブ配信を予定しております。チャンネル登録をしていただくと、リマインダー通知がくるなどして動画が見やすくなりますので、よろしければご検討ください。
https://www.youtube.com/channel/UC-LwTQvNdrNO-f4HinoPuAA

なお、遠方からお越しいただく予定の方など、すでにご来場の予定を組まれた方もいらっしゃると思いますので、会場での衛生対策はできる限り取るつもりでおります。

当日ご来場される場合には、次のことを徹底してくださいますようお願いいたします。

  • 発熱がある場合や、ひどい鼻水・咳などの体調不良を感じられた場合には、参加をお控えいただきますようお願いします。
  • 会場の入口に設置する予定のアルコール消毒液をお使いください。
  • 咳エチケットや頻繁な手洗いなどを実施してください。

シンポジウム終了後の懇親会も開催する予定はございません。

主催団体として、心苦しい判断ではございますが、基本的にWeb配信をご覧いただくようご検討くださいましたら幸いに存じます。何とぞご理解・ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

感染予防の対策を講じながら、しかしシンポジウムの様子をみなさんにひろくお伝えできるようにしたいと考えておりますので、YouTube配信のご視聴を積極的にご検討いただけましたら誠に幸いでございます。


Tokyo Digital History一同および
代表 小風尚樹

【開催案内:2月23日】2020 Spring Tokyo Digital History Symposium 開催のお知らせ

※新型肺炎の感染予防対策についてはこちら

|開催主旨

近年、人工知能や情報通信技術の発展に伴い、欧米の学界ではすでにこのような技術を歴史研究に導入しようとする学会や研究プロジェクト、教育センターが続々と設立され、従来とは比較にならないほど大量で長期間を扱うような膨大なデータを活用した新しい研究の萌芽が見られています。

一方、日本では、歴史研究にデジタル技術を導入することの利活用可能性や留意点を議論する場がほとんど存在せず、実践的で建設的な議論が進む土壌が充分に形成されているとは言い難いのが現状です。

このような問題意識に基づき、われわれTokyo Digital Historyは、2018年の4月に第1回シンポジウムを開催しました(開催報告はこちらからご覧いただけます)。おかげさまで同シンポジウムには90人以上の参加者のみなさまにお越しいただき、当日の様子が新聞で紹介されるなどしました(2018年5月19日付け日本経済新聞)。

第2回となる本シンポジウムは、国内各地で見られてきたデジタル・ヒストリーの研究事例をいくつか集め、現状の可能性や課題を共有するとともに、若手研究者の成果発信をサポートすることを通じて、デジタル・ヒストリーの批判的実践者のすそ野を広げることを主な目的とします。具体的な議題として、歴史研究とアーカイブズ学・構造化テキスト・計量テキスト分析・GISとの連携や、大学院生への教育を検討する予定です。

なお、今回のシンポジウムは、「2019年度東京大学経済学研究科 「経済史、経営史、および歴史研究国際化のための基盤形成プロジェクト」 歴史家ワークショップの活動内容に即した企画案の公募」事業の資金援助をいただきました。ここに記して謝意を表します。

みなさまのご参加、心よりお待ち申し上げております。

Continue reading “【開催案内:2月23日】2020 Spring Tokyo Digital History Symposium 開催のお知らせ”

【開催案内】2020年1月16日(木)「論文を国際ジャーナルに載せるには」

1月中旬に来日されるPatrick Wallisさんを囲んで、国際査読雑誌への論文投稿についてラウンド・テーブルセッションを開催いたします。リサーチセミナーとは違った観点から、実践的なアドバイスを得られる貴重な機会となります。パネルには、東大東文研の米野みちよさん、青山学院大学のシーダー・チェルシーさん、歴史家ワークショップ運営委員の山本が登壇し、英語での査読雑誌投稿に的を絞って様々な経験を共有いたします。質疑の時間もございます。国際査読雑誌への投稿をお考えの皆様は、ぜひご参加ください。

日時: 2020年1月16日(木) 16:30-18:30
会場: 東京大学本郷キャンパス経済学研究科小島ホール1階第2セミナー室
地図:http://www.cirje.e.u-tokyo.ac.jp/about/access/campusmapj.pdf
使用言語:英語
参加:無料・事前登録無し

パネリスト:
Chelsea Schieder (Aoyama Gakuin University) modern Japanese history
Patrick Wallis (LSE) economic history
Koji Yamamoto (University of Tokyo) early modern British history
Michiyo Yoneno-Reyes (University of Tokyo) Asian studies

予定しているトピック:
・投稿先の雑誌をどのように選ぶか
・雑誌の編集者や査読者は何を審査しているのか。
・博士論文や学会発表から、論文原稿を発展させる際の戦略
・「国際誌に投稿してよかった」と感じたエピソード
・院生だった頃の自分に教えてあげたいアドバイス

共催:University of Tokyo International Publication Initiative (UT-IPI)

【開催案内:2020年1月12日(日)】若手・中堅のための英語論文ワークショップ with Patrick Wallis (LSE)

Patrick Wallis 教授 (LSE:London School of Economics)をゲストにお迎えし、政治経済学・経済史学会・経営史学会・社会経済史学会との共催で、「若手・中堅のための英語論文ワークショップ」を開催します。国際誌のエディターであり、未刊行史料に基づいた質的分析と計量的分析の両者に長じた Wallis 氏の実践的アドバイスに触れることのできる貴重な機会です。社会史・経済史・経営史分野で英語での論文投稿に挑戦されたい方は、ぜひご参加ください。

  • 日時:2020年1月12日(日) 13:00-17:30
  • 会場:東京大学本郷キャンパス経済学研究科、小島ホール2F、第3セミナー室
  • ゲストコメンテーター:Professor Patrick Wallis 
    Department of Economic History, LSE, managing editor of Economic History Review
  • 使用言語:英語
  • 参加: 無料・事前登録無し
  • プログラム:
    13:00-13:50 
    ①  掘井 誠史(神戸大学大学院経済学研究科)
      “Technological innovation in textile industry: evidence from prize competitions implemented in Kurfürstentum Sachsen during the late eighteenth century“

    14:00-14:50
    ② 井上 達樹(東京大学大学院経済学研究科)
    “The impacts of coal smoke on fertility and mortality in Japan, 1899–1910.” 

    14:50-15:10
    休憩

    15:10-16:00
    ③ 佐藤 秀昭(住友史料館)
    “Outside the country in the country: bonded warehouses in Japan in the 1920s”

    16:10-17:00
    ④ 五十嵐 英梨香(東京大学大学院経済学研究科)
     “Pregnant women during the baby boom in Japan”

■ 共催:政治経済学・経済史学会・経営史学会・社会経済史学会

■ 問い合わせ先:
  歴史家ワークショップ事務局  rekishika.workshop@gmail.com

【締切12/6】2020年1月12日 若手・中堅のための英語論文ワークショップ発表者募集(政治経済史・経営史・社会経済史)

「若手・中堅のための英語論文ワークショップ」開催のお知らせ

Patrick Wallis 氏 (London School of Economics)をゲストにお迎えし、政治経済学・経済史学会・経営史学会・社会経済史学会との共催で、「若手・中堅のための英語論文ワークショップ」を開催することになりました。国際誌のエディターであり、未刊行史料に基づいた質的分析と計量的分析の両者に長じた Wallis 氏から実践的アドバイスを頂くことのできる貴重な機会となります。下記の要 領で報告者を募集しますので、奮ってご応募ください。

【日 時】 2020 年 1 月 12 日(日) 13 時 00 分~17 時 00 分
(報告者数により若干前後します)

【場 所】 東京大学本郷キャンパス 小島ホール 2F 第 3 セミナー室

【ゲスト】 Professor Patrick Wallis(London School of Economics, managing editor of Economic History Review

【募集対象】 経済史・経営史を専攻する若手・中堅研究者

【応募方法】 政治経済学・経済史学会ホームページ(http://seikeisi.ssoj.info/)より、 応募用紙をダウンロードの上、必要事項と報告要旨(300 単語以内の英文)を記入し、12 月 6 日(金)17 時までにメールの添付ファイルで歴史家ワークショップ 事務局(rekishika.workshop[at]gmail.com)宛にお送り下さい。なお、採否の結果は、下記の合同準備委員会の審査を経て、12 月旬までに連絡いたします。

【備考】
(1)報告は1本 20-30 分、講評と討論を 20 分で行う予定です。使用言語は英語です。 ※討論時間等は報告者数によって変動します。
(2)報告者は、共催学会の会員および歴史家ワークショップのイベント参加経験者が優先 されます。大学院生・若手・中堅の応募を歓迎します。(年齢は関係ありません)
(3)採用された方は、2020 年 1 月 5 日までに 4000-10000words のドラフトを歴史家ワークショップ事務局へ提出してください。
(4)歴史家ワークショップでは、校閲ワークショップも開催しています。詳細は下記 URL をご覧ください。https://historiansworkshop.org/category/other-event/revising-your-drafts/
(5)首都圏以外の地域にお住まいの大学院生・PD・非常勤限定で、トラベルグラント (実費ベースで最大 3 万円まで)を支給します(若干名)。

【運営委員】
大塩量平(大東文化大学経済学部)
小島庸平(東京大学大学院経済学研究科)
山本浩司(東京大学大学院経済学研究科)

史料読解ワークショップ開催レポート②

*こちらは史料読解ワークショップ開催レポートの後編です。前編はこちら。

大学院生対談 —史料読解ワークショップに参加して—

◇問題意識と参加のきっかけ

中山:ワークショップを企画し、当日の司会を務めさせていただきました、東京女子大学修士に在籍している中山恵と申します。ドイツ近現代史の中でも、ヴァイマール共和国時代の戦死者記念について研究しています。ワークショップの企画をした動機は、学部時代、卒論を書くまでに、史料を実際に読んでみたり読み方を学んだり考えたりする機会がなかなかなかったことに気付き、これから修論を書くに当たって勉強したいと考えたからです。個人的に、ぜひ藤野裕子先生と小野寺拓也先生から史料に関するお話を伺いたくて、ワークショップへの登壇をご依頼したところ、ご快諾いただき企画が実現しました。

今回はワークショップを振り返るために、記事の執筆にも協力をいただいた同じく大学院生の浅井さんと奥田さんをお招きして対談の場を持ちました。本日の対談はちょうどワークショップ開催から1か月後となりましたね。それではまず、お二人にワークショップに参加した動機を伺いたいです。

Continue reading “史料読解ワークショップ開催レポート②”

史料読解ワークショップ開催レポート①

* こちらは史料読解ワークショップ開催レポートの①前編です。②後編へのリンクはこのページの最後にあります。

趣旨説明

文責:中山恵(東京女子大学修士1年)

2019年7月8日、「史料読解ワークショップ」を開催いたしました。

歴史学研究において避けては通れない、いや醍醐味でもあるといえる一次史料の読解と史料批判。しかし、歴史学を学ぶ学生にとっては、史料読解や批判に関する学びや訓練の場は必ずしも十分とは言えず、特に専門分野を横断しての、史料へのアプローチ方法の共有や議論の機会はこれまで少なかったのではないでしょうか。そうした問題意識のもと、史料読解について日本史からは藤野裕子先生、ドイツ史からは小野寺拓也先生からお話を伺い、参加者のみなさんと議論することで、専門性を掘り下げるだけでなく領域横断的にも知見を得られる場を作りたいと考え、今回のワークショップを企画しました。

まず、藤野先生と小野寺先生に対談形式でお話しいただき、その後、藤野先生と小野寺先生のワークショップへ移りました。そして実際に史料の読解と解釈にも取り組みました。藤野先生のワークショップではその場で初めて配布された史料を読み、小野寺先生のワークショップでは事前課題として読んできた史料に関する問いの答え合わせと、「問いを立てる」作業にそれぞれグループごとに参加者のみなさんと取り組みました。

今回、大学院生から教育機関ないし在野の研究者、高校の教職員といった、一分野の研究者に限らない幅の広い層の方々にご参加いただきました。その様子を以下に、それぞれ簡潔にではありますがご報告いたします。

Continue reading “史料読解ワークショップ開催レポート①”

2019年7月8日 史料読解ワークショップ~裁判記録とラブレター~開催のお知らせ【満員御礼】

一次史料を読む際にどのようなことに気を付ければいいのか。そして、どのようなことを読み取ることができるのか、できないのか——。

今回のHistorians’ Workshopでは、二人の歴史家をお呼びして、戦前日本の裁判記録と、第二次世界大戦中に書かれたラブレターをみなさんと一緒に読み解きます。

◇歴史家プロフィール
◆藤野裕子 
 東京女子大学 准教授。(日本近現代史:民衆史、ジェンダー史研究)

◆小野寺拓也
 東京外国語大学 特任講師。(ドイツ近現代史:日常史、ナチズム研究)

◆日時:2019年7月8日(月)18:30開場、19:00開始~21:30終了
◆会場:東京大学本郷キャンパス小島ホール2階 第3セミナー室
◆事前登録締め切り:6月28日
◆参加無料

◇タイムテーブル *〔〕:担当者
19:00 趣旨説明
19:10 基調対談〔藤野×小野寺〕
19:30 ワークショップ①〔藤野〕
20:15 休憩
20:25 ワークショップ②〔小野寺〕
21:10 まとめのディスカッション
21:30 終了

◇開催趣旨
歴史学研究において避けては通れない、いや醍醐味でもあるといえる一次史料の読解と史料批判。
しかし、歴史学を学ぶ学生にとっては、史料読解や批判に関する学びや訓練の場は必ずしも十分とは言えず、特に専門分野を横断しての、史料へのアプローチ方法の共有や議論の機会はこれまで少なかったのではないでしょうか。
そこで今回のワークショップでは、史料読解について、日本史およびドイツ史をご専門とされる二人の歴史家からお話を伺い、参加者のみなさんと議論することで、専門性を掘り下げるだけでなく領域横断的にも知見を得られる場としたいと考えています。さらに、参加者のみなさんと、実際に史料の読解、解釈にも取り組んでいきます。

◇登録方法
参加人数に限りがありますので、グーグルフォームにてお早めにお申し込みください。(6月28日締め切り) 【満員御礼】6/22(土)現在、定員に達しましたので、一旦締め切らさせていただきます。たくさんのご登録ありがとうございました。 もし追加募集があれば、再度ご案内いたします。

◇事前課題
参加者にはメールにて事前課題のご案内をいたします。課題内容は以下の2つを予定しています。
・ラブレターの史料(日本語翻訳)を読み、問いについて考える。
・裁判記録に関する事件の概要をつかむ。

◇会場地図 東京大学本郷キャンパス 本郷三丁目駅から徒歩約10分

企画・連絡先:中山恵(東京女子大学 歴史文化分野)
nagatzki0905[at]gmail.com

2018年9月9日 「迷える子羊たちのために 論文執筆の処方箋」開催報告

2018年9月9日 「迷える子羊たちのために 論文執筆の処方箋」開催報告

概要

研究におけるゴールは、論文の執筆や学会発表というかたちで明示することが挙げられるでしょう。しかし、ここに至るには常に思考を反復しなければならず、わたしたちは試行錯誤を繰り返しています。このなかで、わたしたちはどのようにアイディアを育てているのでしょうか?

本ワークショップでは、西洋史研究者とアウトライン・ライティングの専門家より、執筆の過程について、どのようなことを問題と感じ、どう対処してきてこられたのか、失敗談を交えてお話しいただきました。スピーカーと参加者を交えたオープン・ダイアローグでは、みなさんが普段感じてる研究にまつわる悩みをポストイットに書き、それを模造紙上で分類する作業を行いました。全体のオープン・ダイアローグでは、3名のトークと各グループの模造紙にもとづき、各々の悩みとそれに対するメソッドについて議論しました。

 

トーク① 隠岐さや香氏(科学技術史・社会思想史/名古屋大学)

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隠岐氏は、未完に終わったフランス語の博士論文の執筆過程を失敗談として紹介した。自身はこれまで、シンポジウムや科研の企画など外部からの要求を受けて葛藤しながら書いてきたが、自分が「これは失敗だ」とみなして諦めないかぎり最後に何かしらの結果は出るのだと語った。

 

トーク② 青谷秀紀氏(中世ネーデルラント史/明治大学)

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青谷氏は、研究に取り組む際のメンタル調整法として自身が実践してきた冷水シャワーと瞑想を紹介した。また、アイデアを発見・拡張・分割するための3つの観点①異質なものの組み合わせ、②情報の適量化、➂外部からの案を挙げた。また、学務・家事・育児と研究の折り合いのつけ方、生活一般から研究や教育に資するアイデアを引き出す可能性にも触れた。

 

トーク➂ Tak.氏(ライター)

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Tak.氏は、自身が模索し、普及させているアウトライン・プロセッシングという執筆テクニックを紹介した。アウトライン・プロセッシングとは、「アウトライナー」と呼ばれるソフトを使って文章を書き、考える技術。アウトライナーの3つの機能であるアウトラインの表示・折り畳み・組み換えを、著書を執筆した際の実践例をもとにレクチャーした。アウトライン・プロセッシングについて、詳しくはTak.氏の著書を参照。

 

 

オープン・ダイアローグ

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トークの合間に行われた一度目のオープン・ダイアローグでは、参加者たちが論文執筆に関して普段から抱いている悩みをひとつずつポストイットに書き込み、それをグループごとに模造紙上で集約・分類しました。グループ間で共通する悩みが多く、リサーチと執筆の時間配分、問題設定の仕方、スケジュール管理、環境づくり、モチベーションの維持、費用確保、自分の論文に関与する他者との距離の取り方、語学といった分類ができあがりました。ここで出た悩みに対して自分なりの解決策をもっている参加者には、コーヒーブレイクのあいだに赤字でそのメソッドを書いたポストイットを貼ってもらいました。

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3名のトークの後に行われた二度目のオープン・ダイアローグでは、模造紙上に現れたいくつかの課題に関して全員でディスカッションしました。

 

・インプットとアウトプット

「読書量が少ないのではないかと感じて、文献を読んでばかりでなかなか書き始められない」「所要時間を過小評価してしまう」という多くの人に共通する悩みが話題となったときには、アウトライナーを用いたフリーライティングの方法や、一定量のページを読むのにかかった時間を毎日記録し、自分の読書スピードを把握して計画を改良していく、という方法が紹介されました。

・自分が書いたものを、いつ誰に見せるのか

これについては人それぞれでした。他人の意見に影響を受けたくない、という人もいれば、院生同士で見せ合う場がほしいという人もいました。ある参加者は、指導教員に「自分ではまだ見せられないと思う段階で見せるように」という言われているとのことでした。モチベーションの維持、スケジュール管理、論文を完成に向かわせる環境づくりといったことに密接に結びつく問題です。

・その他のトピック

研究とプライベート

パワハラ、アカハラ

資金不足

人生の不安、etc. …

 

論文の執筆という当初の話題からどんどん派生して、議論は多岐にわたりました。結局、論文を書くという行為は、わたしたちが日々直面する公私の問題を適切な優先順位でケアしつつ、各々にとって心地のよいメンタルと環境を確保したうえに成り立つべきものだということを実感した方が多かったのではないでしょうか。

スピーカーの方々も、「論文ってみなさんどうやって書いてるんでしょうね?」とか「自分の研究手法を確立できてはいない」ともらしていました。「論文執筆の処方箋」は、アップデートされ続けるのでしょう。

 

終了後、参加者に対してアンケートを実施しました。以下では回答の一部を紹介します。類似の企画を行うためのヒントになりそうです。

 

【学べたこと】

みんな同じ悩みを持っているのだな、自分だけではない、と思いました。(大学 院生)

・アウトライナー、逆算ウィークリー、年表作成などの具体的なメソッド。(大学 院生)

全体を通じて、色んな話を聞き、不安も薄くなった。卒論がすすまなかったり、 教授に連絡しなかったり(笑)したのは、自分の弱さだと思っていたが、みなさ ん様々な不安があると知り、安心した。また、それぞれの課題解決のために工夫 をしていたので、自分も頑張ろうと思った。(学部生)

 

【もっと知りたいと思ったこと】

・アイデアの鮮度や見切り時について。(大学院生)

・書いたものを「いつ見せるか」「どうやって見せるか」。(大学院生)

悩み共有などはできたかもしれないが、具体的な解決策についてもう少し踏み込 むべきだと思った。(大学院生)

 

【ワークショップの企画としてやってみたいこと・やってほしいこと】

・パワハラ・アカハラ対策(一般)

・メンタルを引き上げるのは個人的な面も多いので、方法、手法など、すぐにでも 変えられるものを対象にやってみて欲しいです。今日はみなさん自尊心や自己  肯定感の低さを感じているように思いましたが、自分にとっての「いつも」を  共有することで、結果的にメンタルを引き上げるのも良いのではないでしょう  か。(大学院生)

・海外研究者の失敗談など今回の内容の継続(教員)

・メモの取り方、インプットの効率よいやり方(ポスドク・非常勤講師)

・構想、書き初めレベルのものを見せ合う。(大学院生)

・論文執筆の方法について(今回は「研究をする上での悩み」が中心となっていた ので)(大学院生)

・語学の悩みが共通でけっこうあったので、勉強法について。あるいは勉強会を  やってほしいです。(大学院生)

・研究者としての就職について。特に学際領域におけるキャリア形成について(ポ スドク・非常勤講師)

 

まとめ

今回のワークショップは、「論文の執筆」にテーマを絞って企画されたものでした。しかし、参加者から出てきた悩みは論文執筆そのものだけではなく、その周辺にある研究環境やメンタルに関することなど多岐にわたり、しかもどれも多くの人に共通するものばかりでした。このイベントを開催したことで、多くの研究者が共通の悩みを持っており、それらが自分だけの悩みではないと認識することは、研究者にとって大きなメリットであることが明らかになりました。歴史家ワークショップは、上記のアンケート結果やみなさまのアイデアをもとに、今後も類似のイベントの開催を続けていきたいと考えています。アイデアのある方は、運営委員へご連絡いただくか、当HPのコンタクトフォームでご連絡いただけると幸いです。