【開催案内】西洋中世学会若手セミナー(3月12日)

2019年度 西洋中世学会 若手セミナー

『西洋中世学研究者のためのデジタル・ヒューマニティーズ入門』


【開催概要】
・日時:2020年3月12日(木)13:30–17:30

・会場:東京大学本郷キャンパス 経済学研究科学術交流棟(小島ホール)1F第2セミナー室(キャンパスマップ:https://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_01_j.htm

・事前参加登録制(2020年3月6日まで):登録フォーム:https://forms.gle/Ds7B2jJjX8naGyPD6

・定員:60名程度

・参加費:無料

・コンピュータ技術に関する予備知識は必要ありません

必ずご自身のノートパソコンをご持参ください(eduroamまたは東京大学のネットワークに接続可能です)

【開催主旨】
情報通信技術の発達は人文学研究にも大きな影響を及ぼし、デジタル・ヒューマニティーズ(DH)という研究領域が広がりをみせています。DHの起源が、イエズス会研究者であるロベルト・ブサ神父(1913—2011)が1949年にIBM社と共同でおこなったトマス・アクィナスの著作の索引作成にあるとしばしば指摘されるように、実は西洋中世学とDHの関わりは長い歴史をもっています。

デジタル技術を用いる研究手法は、文学、哲学、歴史学、美術史学、音楽学、写本学など、さまざまなディシプリンにおける「アナログな」手法に取って代わるものではなく、相互補完的な関係にあります。人文学のさまざまな領域に深く関わるこのテーマを取り上げることにより、研究内容・研究方法の学際性な共有を促進することもねらいとしています。さらに、このようなデジタル技術が人文学の営みをどのように変えていく/いかないのかについて、みなさんと議論できればと考えています。

【プログラム】
13:30 – 13:50 趣旨説明 
纓田宗紀(東京大学大学院/アーヘン工科大学)
13:50 – 15:10 TEI – 文字史料をマークアップしてみる
小風尚樹(東京大学大学院)・永崎研宣(人文情報学研究所主席研究員)
15:30 – 16:50 IIIF – 西洋中世写本の画像を加工してみる
小川潤(東京大学大学院)・中村覚(東京大学情報基盤センター助教)
17:00 – 17:30 ディスカッション

【関連文献・サイト】
・永崎研宣「デジタル文化資料の国際化に向けて:IIIFとTEI」『情報の科学と技術』(67-2、2017年)、61-66頁(リンクはこちら
・後藤真・橋本雄太編『歴史情報学の教科書:歴史のデータが世界をひらく』文学通信、 2019年(リンクはこちら
・京都大学人文科学研究所・共同研究班編、永﨑研宣著『日本の文化をデジタル世界に伝える』樹村房、2019年
・TEI(Text Encoding Initivative)Wikipedia
・TEIガイドライン
IIIFに関する日本語情報の私的なまとめ
・人文学オープンデータ共同利用センター(CODH):顔貌コレクション(顔コレ)

共催:
歴史家ワークショップ
Tokyo Digital History

お問い合わせ先:纓田宗紀 soki.oda@gmail.com

 

【3月10日 Peter Lake教授招聘イベント②】Roundtable: Historiography on (Early) Modern Religions

《3月2日update》残念ながらRoundtableの開催を延期させて頂く決定を下しました。今のところ、Lake教授には、今年12月半ば頃に改めて来日日程を調整して頂いております。今回予定しておりましたRoundtableはLake教授の来日時に改めて開催させて頂きたく存じます。

《2月23日update》新型肺炎流行の現状を鑑み、残念ながらPeter Lake教授の招聘は見送ることになりました。本Roundtableに関しては、Lake教授を除く日本側の登壇者・参加者のみで開催するか否か、3月3日までには最終決定する予定でおります。続報をお待ち頂ければ幸いです。

Peter Lake教授招聘イベントの2つ目はRoundtable: Historiography on (Early) Modern Religionsです。
(1つ目に関しては以下をご参照ください:https://historiansworkshop.org/2020/01/31/lake1-02-28/)

  • 日時:3月10日(火曜)14:00~18:30
  • 会場:東京大学本郷キャンパス 小島ホール1階 第2セミナー室
  • 使用言語:英語
  • 登壇者:Peter Lake教授 (近世イギリス政治宗教史 / Vanderbilt Univ.), 小俣ラポー日登美先生 (近世ヨーロッパにおけるアジア像 / 日本学術振興会・上智大学), 福島栄寿教授 (近代日本仏教史 / 大谷大学), 守屋友江教授 (近代日米仏教史 / 阪南大学)
  • 話題提供者:安平弦司 (近世オランダ宗教社会史 / 日本学術振興会・武蔵大学), 菊地大樹准教授 (中世日本仏教史 / 東京大学)
  • 司会:菊地大樹准教授 (中世日本仏教史 / 東京大学)
  • 参加:無料・事前登録無し

概要:
プロテスタント宗教改革や対抗・カトリック宗教改革は、近世ヨーロッパに始まり、アジアや新大陸にまで波及しました。それら複数形の“Reformations”は同時代的にグローバルに拡散したというだけではなく、西洋のみならず日本においても後の近代歴史学の形成に多大な影響を与えました。特に20世紀後半以降、他の歴史学分野と同様に宗教史研究においても、方法論や分析視角は大きく刷新されていきました。例えば、世俗化・信仰私事化・寛容の興隆・脱魔術化等の近代化論は、宗教と国家・社会・人びとの関係性が近世・近代で大きく変化したことを論じていますが、今日の学界では大きな修正を余儀なくされています。本ラウンドテーブルでは、近世・近代の宗教を扱う歴史研究において第一線でご活躍なさっている四名の方々にご登壇頂き、ご自身の研究を史学史の中に位置づけて頂きます。そうすることで、日本史・西洋史、仏教史・キリスト教史といった専門の垣根を越えて、近世・近代の宗教を扱う歴史学の営みを歴史的に把握し、2020年現在におけるその最前線を探っていきたいと考えています

プログラム:
14:00–14:20 開会の辞 … 安平弦司 (近世オランダ宗教社会史 / 日本学術振興会・武蔵大学), 菊地大樹 (中世日本仏教史 / 東京大学)
14:20–15:35 セッション1 … Peter Lake (近世イギリス政治宗教史 / Vanderbilt University), 小俣ラポー日登美 (近世ヨーロッパにおけるアジア像 / 日本学術振興会・上智大学)
15:50–17:05 セッション2 … 福島栄寿 (近代日本仏教史 / 大谷大学), 守屋友江 (近代日米仏教史 / 阪南大学)
17:15–18:30 全体討論

登壇者・話題提供者のご紹介:
Peter Lake教授:https://as.vanderbilt.edu/history/bio/peter-lake
小俣ラポー日登美先生:https://researchmap.jp/HitomiOmataRappo
福島栄寿教授:https://researchmap.jp/625523gaogao
守屋友江教授:https://researchmap.jp/read0075458
菊地大樹准教授:https://researchmap.jp/read0184866
安平弦司:https://researchmap.jp/genjiyasuhira

宗教史研究の第一線でご活躍なさっている四名が一同に介する本ラウンドテーブルは、近世・近代の宗教史研究の過去・現在・未来を分野横断的に議論するためのまたとない貴重な機会です。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

文責:安平

【2月28日 Peter Lake教授招聘イベント①】Colloquium on Medieval and Early Modern Religious History

《2月23日update》新型肺炎流行の現状を鑑み、残念ながらPeter Lake教授の招聘は見送ることになりました本Colloquiumに関しては、会場での衛生対策を十分に行った上で、Lake教授を除く日本側の登壇者・参加者の有志での開催を予定しております。ただし、当日までの状況の変化に応じて、開催中止も含めて柔軟な対応をとっていく所存でございます。

《2月21日update》会場を東京大学本郷キャンパス 経済学研究科棟12階 第1共同研究室に変更しました。

この度、大変喜ばしいことに、歴史家WSでPeter Lake教授 (Vanderbilt Univ.) を招聘することになりました。Lake教授招聘イベントの1つ目はColloquium on Medieval and Early Modern Religious Historyです。大変豪華なことに、Lake教授に加え、ヒロ・ヒライ先生 (Radboud Univ.) にもゲストコメンテーターになって頂きます。
(Lake教授にご登壇頂く2つ目のイベントに関しては以下をご参照ください:https://historiansworkshop.org/2020/02/06/lake2-03-10/)

  • 日時:2月28日(金曜)14:00~18:00
  • 会場東京大学本郷キャンパス 経済学研究科棟12階 第1共同研究室
  • 使用言語:英語
  • ゲストコメンテーター:Peter Lake教授 (Vanderbilt Univ.) / ヒロ・ヒライ先生 (Radboud Univ.)
  • 参加:無料、ただし事前登録推奨

プログラム:
(1) 14:00–15:10 黄霄龍 (東京大学), ‘The “Head-Branch” Temple Relationship in the Late Medieval Japan’
(2) 15:25–16:35 安平弦司 (日本学術振興会 / 武蔵大学), ‘Catholic Survival through Spatial Practices in Seventeenth-Century Utrecht’
(3) 16:50–18:00 稲垣健太郎 (東京大学), ‘Justifying the Use of Arabic for Bible Exegesis: Albert Schultens and the Rise of “Empirical” Biblical Philology in the Eighteenth-Century Dutch Republic’

ゲストコメンテーターのPeter Lake教授は近世ブリテン政治史・宗教史の世界的権威であり(https://as.vanderbilt.edu/history/bio/peter-lake) 、ヒロ・ヒライ先生は近世インテレクチュアルヒストリーの牽引者であります (https://researchmap.jp/hirohirai/?lang=japanese)。学界の最前線でご活躍中のお二人が同時に登壇されるこのようなイベントは滅多に開催し得ない大変貴重な機会です。どうぞ奮ってご参加ください。

参加を希望される方は、できれば事前に安平弦司(genji.yasuhira[a]u.musashi.ac.jp)までご連絡頂ければ幸いです。当日は議論の時間を多くとりたいため、事前に3本の英語原稿を参加希望者に配布し、参加者全員が原稿を読んでいることを前提として会を進めていきたいと考えるからです。公表前の原稿ですので、取り扱いにはくれぐれもご注意ください。本Colloquium参加者以外に原稿をお見せすることはどうぞお控えください。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

文責:安平

【開催案内:2月22日】国際ワークショップ:「前近代エジプトおよび周辺地域の環境と経済」 Workshop: Environment and Economy in Premodern Egypt and Beyond

ローマ時代のエジプト・ナイルデルタの社会経済史を専門とするキャサリン・ブルーアン氏(トロント大学)の講演と日本人研究者による研究報告からなる研究集会を開催します。ご関心のある方はご参加いただければ幸いです。

日時:2020年2月22日(土曜日)14:00-18:00
会場:東京外国語大学本郷サテライトキャンパス7階会議室;http://www.tufs.ac.jp/common/satellite/
使用言語:英語
参加:無料・事前登録無し。ただし参加予定の方は事前に連絡をいただけると助かります。

Feb 22nd Sat 14:00-18:00 (the room reserved 13:30-18:30)
7th Floor Meeting Room, Hongo Satellite Campus, Tokyo University of Foreign Studies

14:00-15:00: Lecture
Katherine BLOUIN (Toronto University)
“Surrounded by the Sea and by Salt Marshes”: Environmental Entanglements in the Lake Menzaleh (NE Nile Delta) under Roman Rule

15:20-17:30: Short Papers
15:20-15:40 Hiroshi KATO (Hitotsubashi University)
A Note on the Ecological Environments in the Manzala Lake Region in Modern Times

15:20-15:40 Wakako KUMAKURA (Tokyo University of Foreign Studies):
Resilience to Catastrophes in view of the Transformation of the Medieval Basin

15:40-16:00 Ryosuke TAKAHASHI (Tokyo Metropolitan University):
Economic Interactions of Families in Second-century AD Tebtunis

16:00-16:30 Satoshi URANO (Rikkyo University):
Two Projects newly launched by Japanese and Turkish Historians and Scientists in Asia Minor in 2020 — Eber Lake (Ancient Askanios) Paleoecological Project in Phrygia and Tlos City Wall Project in Lycia.

16:30-16:40 Break

16:40-16:55 Manabu KAMEYA (Hirosaki University):
Distribution of Palm Trees in the Mediaeval Fayum

16:50-17:10 Saho MITSUHASHI (Nara Women’s University):
Cairo and the Nile in the Mamluk Period

17:15-18:00 Discussion
Commentator: Katherine BLOUIN

連絡・問い合わせ先:高橋亮介 r_takahashi [at] tmu.ac.jp

共催:科学研究費「古代地中海世界における知の動態と文化的記憶」・科学研究費「中東・北アフリカ地域における黒死病前後の環境変動と疫病流行」・東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所基幹研究「中東・イスラーム圏における分極化とその政治・社会・文化的背景」・公益財団法人鹿島学術振興財団研究助成「地形図から読み解く歴史:エジプトとハドラマウト(イエメン)の比較研究」

【開催案内:2月17日】ラウンドテーブル・ディスカッション:西洋古代史・中東史研究の国際化にむけて Round Table Discussion: How to foster International Collaboration among Historians: the Case of Classical and Near-Eastern Studies

本イベントでは、西洋古代史・前近代中東史研究における国際ネットワークの構築と多言語使用の現状と課題について、古代ローマ史・エジプト史の専門家であるキャサリン・ブルーアン氏(トロント大学)を話題提供者としてお迎えし討論を行います。氏は英語とフランス語の両方で研究成果の発信をしており、言語選択上の戦略や問題点についてお話いただきます。また国際的な研究ネットワークの構築の実践についても、氏が編集中のエジプトの社会経済史に関する論文集(Imperial Landscapes: Empires, Societies, and Environments in the Ancient to Modern Nile Delta) への寄稿者である熊倉和歌子氏(東京外国語大学)からのコメントを交えて、お話を伺います。さらにブルーアン氏の同僚である社会人類学者ギリシュ・ダスワニ氏からも適宜、補足的な説明をしていただく予定です。
エジプト史、ギリシア・ローマ史研究およびイスラーム史研究の国際化と国際発信、またカナダの学術事情にご関心をもつ方々の広い参加をお待ちしております。

日時:2020年2月17日(月曜日)16:30-18:00
会場:東京大学本郷キャンパス経済学研究科小島ホール2階第3セミナー室
地図:http://www.cirje.e.u-tokyo.ac.jp/about/access/campusmapj.pdf
使用言語:英語(適宜日本語での説明を挟みます。またフランス語での発言も歓迎します)
参加:無料・事前登録無し

話題提供者:Katherine BLOUIN (Toronto University)
Wakako KUMAKURA (Tokyo University of Foreign Studies)
Girish DASWANI (Toronto University)
司会:   Ryosuke TAKAHASHI (Tokyo Metropolitan University)

共催:科学研究費「古代地中海世界における知の動態と文化的記憶」

問い合わせ先:高橋亮介 r_takahashi [at] tmu.ac.jp

8/28「西洋経済史・経営史のこれまでとこれから」開催リポート

本会運営委員でもある東京大学経済学部の山本浩司氏による入門セミナーが2019年8月28日に開催されました。情報過多の時代に、なぜ敢えて西洋経済史・経営史について時間を割く必要があるのか?ネットや新書で十分な情報は手に入らないのか?本セミナーでは、専門知識を前提することなく、日本語圏の情報からでは容易にアクセスできない西洋経済史・経営史の「知のフロンティア」を共有することを目的とし、講義とグループディスカッションを行いました。

当日の様子を参加者の一人、田端俊也さんが当日の様子をメモにしてくださいましたので、リポートの代わりとして共有いたします。グループディスカッションもおおいに盛り上がった様子が伝わるのではないでしょうか。

https://docs.google.com/document/d/12maj8pv852DcTiUJNcwhvGUQCygLB1M9WSIo30Ym9hE/edit?usp=sharing


歴史家ワークショップでは、今後も歴史研究者の社会発信活動を企画していきたいと考えています。企画アイデアをお持ちの方は、コンタク・フォームを使用するか、直接運営委員までご連絡ください

2019年8月28日「西洋経済史・経営史のこれまでとこれから」開催のお知らせ

本会運営委員でもある東京大学経済学部の山本浩司氏による入門セミナーが開催されます。学生・社会人含め興味を持たれた方はどなたでもご参加ください。参加費無料、前提知識不要です。

【日時・場所】

2019年8月28日 (水) 18:45~21:00
東京大学本郷キャンパス 小島ホール2F 第3セミナー室
アクセス: http://www.cirje.e.u-tokyo.ac.jp/about/access/campusmapj.pdf?fbclid=IwAR1JjTHVHy1GtlFjYUCb2T1EuOTUZB6pFveSXhkbNJ6bLJnAffLSk0Nl-t4

【参加費】

無料
*事前登録の必要はありませんが、人数を把握するためにこちらのイベントページでの参加表明にご協力ください。

【話し手プロフィール】

東京大学経済学部 准教授 山本浩司
http://coretocore.ioc.u-tokyo.ac.jp/people/2015/03/post-21.php

【セミナー内容】

情報過多の時代に、なぜ敢えて西洋経済史・経営史について時間を割く必要があるのか?ネットや新書で十分な情報は手に入らないのか?本セミナーでは、専門知識を前提することなく、日本語圏の情報からでは容易にアクセスできない西洋経済史・経営史の「知のフロンティア」を共有することを目的としています。
そこではアダム・スミスやマルクスを含めた知の巨人の背中に立ち、社会経済関係の隅々までを見通そうとする研究者たちの知の冒険を垣間見ることができるでしょう。本セミナーの最後には、Q&Aとグループワークの時間をもうけたいと思っています。経済史・経営史を通して、より汎用性の高い「良き問いの構想力」と「歴史的思考法」とは何かを考え、実践する機会にもなればと期待しています。

レクチャー終了後、懇親会を予定しています。

【メディア掲載記事】
技術革新と資本主義——“Project”の起源とこれからの企業のあり方
https://www.ibm.com/think/jp-ja/business/Innovation-capitalism/

2019年5月19日「ワークショップ:国際発信とキャリア形成」開催報告

趣旨説明・概要

2019年5月19日、第69回日本西洋史学会大会で「ワークショップ:国際発信とキャリア形成」を開催しました。本企画は、西洋史研究者の国際的な研究活動の実践と、それに付随するキャリア形成のあり方について、参加者による討論を通じて現状の把握と問題点の共有を目指すものでした。近年ますます盛んになる研究の国際化は、研究者自らが望むものであると同時に外部から要請されてもいます。また日本語での研究発表や論文・書籍の執筆、大学での教育や社会への発信といった活動の重要性が減じているわけでもありません。このような多種多様な活動をすることへのジレンマは、世代を問わず共有されているのではないでしょうか。

こうした問題の解決は容易ではありませんが、問題が個人的なものであると同時に構造的なものだと捉えるならば、各人がそれぞれの立場から何を具体的な問題として何に価値を見出しているのかを学会という公の場で話し合い、共有し、可視化することには意味があるでしょう。そこで、なんらかの規範的な結論を求めることなく、異なる立場・キャリアの段階にある人たちが自由に話し合うワークショップの機会を設けました。まず近代フランスの科学技術史を専門とし学問と大学のあり方の歴史にも詳しい隠岐さや香氏に、ご自身の経験に基づく問題提起・話題提供を議論のきっかけとしてしていただき、続いて「システム✕デザイン思考」による問題解決手法の開発と実践に携わる鳥谷真佐子氏をファシリテーターとしてグループワークを行いました。

 

隠岐氏による問題提起・話題提供

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隠岐氏の報告では、科学技術史の研究者としての立場から、日本語、フランス語、英語といった多言語での研究発表のペースと内容の違い、英語圏、フランス語圏、日本以外の東アジアの国々の研究者と日本人研究者の研究発表・内容のスタイルの違いなどが指摘されました。また国立の総合大学・研究大学に所属する立場から、人事や予算獲得において研究業績を定量的に評価する圧力が高まっていることや、理系をはじめとする非専門家に研究内容を届ける必要性と、その難しさも言及されました。

 

ワークショップ

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4つのグループに分かれて「国際発信とキャリア形成にはどのような問題があるか」というテーマでディスカッションを行いました。「因果ループ」という手法を用いて、研究者自身および研究者が関わる人々・組織による、さまざまな活動がどのように結びつき、どのような影響を持つのかを因果の関係性を表す図で示していきました。研究者自身を取り巻く環境と活動を規定する様々な要因を俯瞰するとともに、グループで話し合うことで、一人一人が見えてこなかった事柄に気づいたり、簡単に因果関係として捉えられない現象があることに気づきました。

最後に各グループが発表を行いましたが、共通して見られたトピックに、日本語と外国語での研究発表をするための時間・労力の振り分け、研究活動と社会との関わり、ライフワークバランスなどが解決していくべき問題として浮かび上がってきました。

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参加者の意見(アンケート結果より)

【得られたこと】

  • 現在日本の西洋史学が置かれている状況を客観視できた。ある課題は共有することで細分化され、解決の糸口が見つかると学んだ。
  • 海外で活動してきた人と国内で活動してきた人の間で対立があるかと思ったが、問題意識の共有がされていることに気づき勇気づけられた。
  • 異なる立場の方々が、それぞれの立場で学界全体、もしくは社会全体のことを視野に入れつつ考えているのを知ることができた。
  • 世代間のギャップを自覚できた。院生の問題を解決しようとすると有職者にしわ寄せがいき、その逆も然りで、そうした押し付け合いにならない解決策が必要だと感じた。
  • ジェンダーや世代、研究の経歴(海外で博士号を取ったか否かなど)がバラバラの人たちとざっくばらんに話せる機会はなかなかないので、楽しく意見を出しあえて有意義だった。
  • 問題把握のための思考実験が体験できた。

【もっと知りたかったこと、不足していると感じたこと】

  • 国際発信・キャリア形成というテーマでも拡散しがちで、あえてもう少し絞っても良かったのでは思った。
  • 研究者のバイアスが強くかかっていたと感じたので、一般社会・一般読者との関係についてももっと考えたかった。
  • 西洋史などの学部卒業生の進路分野の拡大とキャリア形成にかかわる議論ができなかった。

 

まとめ

今回のワークショップでは、意欲的な参加者に恵まれ、和やかな雰囲気のなかで楽しく議論をすることができました。本ワークショップの開催は、一般財団法人中辻創智社の会議開催費助成により可能になりました。ご支援を賜りましたことに対し、この場を借りて御礼申し上げます。今後も歴史研究に関する類似のイベントの開催を続けていきたいと考えています。アイデアのある方は、運営委員に、または当HPのコンタクトフォームでご連絡ください。

Historians’ Meet-Upお花見 1 Apr 2018

Historians’ Workshopを中心として、Weekly Writing GroupRevising English DraftsTokyo Digital HistoryRE.F. Workshopなどの様々な関連ワークショップが、各個人のアイデアから加速度的に増えてきました。でも、自分が参加しているワークショップ以外にどんな活動があり、どんな人が運営し、誰が参加しているのかを、意外に知らないというのが現状ではないでしょうか。

関連したワークショップが、それぞれ個別に運営されるのではなく、コラボ企画なども 生まれれば、より豊かな相乗効果が得られると思います。これから更に自分達の活動を面白く刺激的なものとするために、今回RE.F. Workshopではお花見を企画してみました。

「隣のワークショップを覗いてみよう」ということで、色んな人が交流できるカジュアルなミートアップのイベントです。みんなでご飯やドリンクを持ち寄って色んなお話をしましょう、という趣旨で、開催しました。

14名の参加者歴史学、芸術、美術史、化学、文学など大変多彩な(!)を得ることができました。これからも学問の専攻の垣根を超え、また社会とのつながりの接点としてのこういったMeet-Upイベントを開催していきます!

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ポットラックパーティ 21 Dec 2017

1221()RE.F. Workshopスピンオフ企画としてパーティを開きました!

今回RE.F. Workshopでは、色んな人が交流できるカジュアルなミートアップのイベントを企画しました。みんなでご飯やドリンクを持ち寄って色んなお話をしましょう、という趣旨です。

目玉企画は『ブック・エクスチェンジ

パーティの際、自信を持っておすすめできる文庫本/ペーパーバックを1冊持ってきてもらいました。それを当日、参加者でくじ引きして交換し合います。「その本の何があなたにインパクトを与えたのか」を少し話してもらうことで、book exchangeがknowldege exchangeになればと思い、この企画を考えました。

写真にある通り、ランダムに各人が何が当たるのかわからないようにくじ引きをし、本が当たった人に対して本をあげる人がプレゼンをするという形をとりました。今まで触れる機会のなかった本に触れることで、これからの本の出会いが変わってくると考えています。皆、いままで手にとることも無かった本と出会ったことで、興味のなかった世界に目が開けたのではないでしょうか。