日本西洋史学会ワークショップ「日本の大学で西洋史学を教える——教室での実践から——」のお知らせ

来る2021年5月15日・16日に開催される第71回日本西洋史学会(武蔵大学・オンライン開催)にて、本会執行部員の高橋亮介さんが企画したワークショップ「日本の大学で西洋史学を教える——教室での実践から——」がおこなわれます。

ワークショップ概要

趣旨説明:高橋亮介(東京都立大学)
実践例の報告:森谷公俊(帝京大学)、八谷舞(亜細亜大学)
コメント:津田拓郎(北海道教育大学旭川校)

本ワークショップでは、大学で西洋史を教えるにあたって、学生に何を伝え、何を学んで欲しいと考えているのか、いかなる工夫をし、いかなる悩みを抱えているのかを率直に話し合い、意見交換することを目的としています。

これまで西洋史学会のシンポジウムでは歴史教育がたびたび取り上げられてきましたが、大学の教壇に立つのを日常とし、あるいは教育に携わる職に就くことを希望する西洋史研究者が実際にどのような授業を行い目指すのかについて、公の場で語る機会は多くありませんでした。また大学ごとに設けられるFD研修では特定の分野に固有の問題を掘り下げることが難しいという問題もあります。したがって専門を同じくする研究者が集まる学会で授業実践について話し合うことに意味はあるでしょう。

西洋史学を学ぶ意義は、学問への熱意を持つ学生たちだけなく、異文化への漠然とした憧れを抱いて教室にやってくる学生、卒業要件という外的な要請から履修する学生たちに対して、どのように説明されるのでしょうか。授業の内容や目的、受講生の学年によって、異なる説明や評価がなされることもあるでしょう。大学教育のなかで様々に位置づけられる西洋史を教えるにあたって、私たちは何を伝えようとし、どのように授業を組み立て、どのような観点から評価しているのでしょうか。

本ワークショップでは、卒業論文執筆を含めた史学科での専門教育、初等中等教育に携わろうとする学生を対象とする教員養成課程、大学で唯一西洋史を学ぶ機会となるかもしれない教養科目の担当者という異なる立場にある教員から日々の実践についてお話しいただき議論の糸口とします。まず『学生をやる気にさせる歴史の授業』(青木書店、2008年)などにより授業実践の紹介と授業改善への提言をしている森谷公俊氏(帝京大学文学部)と、海外留学、高等学校・大学での非常勤講師、助教職を経て、現在講師として西洋史を担当している八谷舞氏(亜細亜大学法学部)から話題提供を、続いて津田拓郎氏(北海道教育大学旭川校)から教員養成課程の事情も踏まえたコメントをいただき、フロアからの意見を募ります。

参加申込

詳細および参加申込は、日本西洋史学会オフィシャルサイトをご参照ください。

【開催報告】特別ワークショップ「仕事の効率化とワークライフバランス」@第70回日本西洋史学会大会

趣旨説明・概要

去る2020年12月12日(土)、第70回日本西洋史学会大会において、特別ワークショップ「仕事の効率化とワークライフバランス」が開催されました。歴史家ワークショップはこれまで、日本西洋史学会でさまざまなワークショップを実施してきましたが、その中で明らかになってきたのは、多くの研究者が「新しいことを始める余裕がない」という思いを抱えている点です。生活費を確保するためのアルバイトや授業、大学業務、学会の運営、あるいは子育てや親の介護に追われ、充分な研究時間を確保できなかったり、ついには研究者としてのキャリアそのものを断念せざるを得ない事態が生じたりしているのです。

こうした研究者のワークライフバランスをめぐる問題は、これまで個人の努力で解決されるべきものと考えられてきましたが、より多くの人々で議論・課題の共有を行なう意義もあるはずです。その議論を喚起すべく、今回のワークショップでは、企画立案者でファシリテーターを務める春日あゆか氏、コメンテーターとして柳原伸洋氏、金澤周作氏にご発言いただき、その後フロアからも積極的にコメントを出していただくことで、研究者のワークライフバランスについて議論し、問題意識を共有することを目指しました。

春日・柳原・金澤氏による報告

まずは春日氏が、自身の工夫について報告しました。こうした工夫を行なうようになったきっかけは、常勤教員として働き始めるにあたり、将来さらに忙しくなることを見据えて仕事を効率化したいと考えたことでした。そして、Excelを用いた労働時間の記録・可視化や院生・学生の積極的な雇用、授業準備の工夫などの試行錯誤を続け、研究時間の確保に関しては一定の成果を挙げているとのことでした。

つぎに柳原氏の報告では、そもそも「ワークライフバランスとは何か」という問題に立ち戻り、個々人だけでなく家族のワークとライフも関わってくるため、これを達成するのはかなり難しいのではないかという指摘がなされました。また柳原氏は、ご自身の仕事の「効率化」に向けた工夫を紹介する一方で、行き過ぎた「効率化」には警鐘を鳴らしました。「効率化」とはあくまで研究時間を確保するための手段に過ぎず、人間関係や学問を行なううえで効率を追求することが誠実といえるかどうか、という問題が提起されました。

最後の金澤氏の報告では、個人のワークライフバランスと学界全体との関係性が論じられました。ワークライフバランスを達成するためには、それぞれの願望を阻害する現状の課題について、個々人で対応するしかない。しかし、類似した課題を抱える人々でそれらを共有・特定したり、他者の課題に共感することはできる。一方で金澤氏は、個人にとっての心地よさやメリットを追求しすぎると、学界が機能しなくなることも指摘されました。学術雑誌の発行や学会の開催など、学界の維持に重要であるが評価されにくい仕事はいくらでもある。誰かがそれを担っているという理解と、自らがそれを担ってもよいという意欲を持たなければならず、ワークライフバランスを実現するためには、自他の課題を認識し、それぞれの事情に理解を示しながら協働できるような、学界の「メンテナンス」が必要である、という考えを述べられました。

フロアからのコメント

以上の三つの報告に対し、フロアからは様々なコメントが寄せられました。

例えば、仕事の効率化に関する内容です。これらのコメントからは、それぞれの職場や制度の中で皆さんが取り組まれている試行錯誤の現状が浮き彫りとなりました。また、そもそも仕事の効率化が必要ない環境を作るべきではないか、そのために大学・政府に制度改革を求めることが重要ではないかという指摘もなされました。これに対し柳原氏から、それぞれの組織・団体内で活動を続けること(他の団体がやっているからといって途中で止めないこと)が重要だというコメントがありました。

研究者の立場とワークライフバランスについて、とくに専業非常勤講師の現状に注目すべきという声もありました。非常勤講師は、任期や給与等の点でワークライフバランスの達成が極めて困難である。ゆえに、非常勤講師が置かれている状況を注視し、改善に向けた動きをとることが必要ではないかという提起がなされました。

さらに、研究者の人間関係に関するコメントも寄せられました。とくにこのコロナ禍で、今まであった人間関係が断絶したり、新たに人間関係を作ることが難しく、孤独な環境に置かれている。これについては自ら積極的に「場」を作ろうとする動きが大切だということで、春日氏から、オンラインを利用して集まり、一定の時間内で各自がそれぞれの作業を行なう「オンライン・グループ」の事例が紹介されました。

参加者の意見(アンケート結果より)

【得られたこと】

  • ワークライフバランスについて、皆なにがしかの悩みを抱えていることを共有できたこと自体が、今後を考えるうえで重要な一歩。
  • 世代によって、社会的あるいは経済的な立場によって直面している問題はそれぞれだが、このような問題を共有できたこと自体を嬉しく思う。
  • Excelを使った時間の見える化、時間を決めて図書館に通うといった実践例が参考になった。
  • ワークバランスをいろいろな組織が継続していくことの大切さ、非常勤雇用の不安定さや男女格差の問題など、いろいろな問題を学会の場でオープンにできた。

【もっと知りたかったこと、不足していると感じたこと】

  • 場作りを大切にするなら、パネリストに大学院生や研究員、非常勤講師もいると良かった。違う立場の人が同じ舞台で話せるイベントができたらそれ自体にとても意義があり、立場の弱い人の励みになると思う。
  • 各人がさまざまな事情を抱え、夕刻という開催時間を考えても、事前アンケートによりあらかじめ一定程度の意見集約を行なうほうがよかった。
  • 個々の愚痴と現状への対処法について、もっといろいろ吐き出して問題を共有したい。
  • 西洋史という領域に特有の現状認識と、それに由来する困難や解決の可能性について話すことも有益だろうと思う。

まとめ

今回のワークショップは、18-19時という時間帯にもかかわらず92名という多くの方にご参加いただき、それぞれの抱える課題について、議論・共有することができました。また、コロナ禍というこの厳しい状況において、第70回日本西洋史学会大会を運営され、特別ワークショップの開催を許可・支援していただいた大会準備委員会の皆さまに、心から御礼申し上げます。

今後も各種イベントの開催を続けていきたいと思いますので、アイデアがおありの方は、運営委員あるいは当HPのコンタクトフォームにてご連絡ください。

執筆:北川涼太(広島大学・博士課程後期)

2020-12-10 Roundtable: Historiography on (Early) Modern Religions

当初3月に予定していたRoundtable: Historiography on (Early) Modern Religionsを、12月10日10-13時(日本時間)にオンラインで開催します。無料でどなたでもご参加頂けますが、事前登録は必須となっております。登録サイト:https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZYpcuGorDMrHdCTt3GAIT6msyfUpNxVLE_5

Abstract:
The Protestant Reformation and the Counter-/Catholic Reformation began in early modern Europe, and then reached Asia and the Americas. The “Reformations” of Christianity not only spread globally in the early modern era, but also affected and even shaped modern historiography as an academic discipline in the West as well as Japan. This roundtable will discuss and historicise historiographies on religions, especially Christianity and Buddhism, in early modern and modern Europe, Japan, and North America. By so doing, it attempts to go beyond the barriers between sub-disciplines of Western history, Japanese history, history of Christianity, and history of Buddhism and to seek the current frontier of the history of early modern and modern religions.

概要:
プロテスタント宗教改革や対抗・カトリック宗教改革は、近世ヨーロッパに始まり、アジアや新大陸にまで波及しました。それら複数形の“Reformations”は同時代的にグローバルに拡散したというだけではなく、西洋のみならず日本においても後の近代歴史学の形成に多大な影響を与えました。本ラウンドテーブルでは、近世・近代の宗教を扱う歴史研究において第一線でご活躍なさっている三名の方々にご登壇頂き、ご自身の研究を史学史の中に位置づけて頂きます。そうすることで、西洋史・日本史、キリスト教史・仏教史といった専門の垣根を越えて、近世・近代の宗教を扱う歴史学の営みを歴史的に把握し、2020年現在におけるその最前線を探っていきたいと考えています。

  • Free / Registration Required
  • Time: 10:00-13:00 JST, 10th December 2020 / 19:00-22:00 CST, 9th December 2020
  • Venue: Zoom (registration link: https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZYpcuGorDMrHdCTt3GAIT6msyfUpNxVLE_5)
  • Language: English
  • Speakers: Peter Lake (Vanderbilt Univ.; History of Post-Reformation England), Tomoe Moriya (Hannan Univ.; History of Buddhism in Modern Japan and the United States), Seiji Hoshino (Kokugakuin Univ.; History of Religions in Modern Japan)
  • Chair: Hiroki Kikuchi (Univ. of Tokyo; History of Buddhism in Medieval Japan)
  • Organiser: Genji Yasuhira (JSPS / Musashi Univ. / Utrecht Univ.; History of Christianity in the Early Modern Netherlands)

Speakers’ Info
Peter Lake: https://as.vanderbilt.edu/history/bio/peter-lake
Tomoe Moriya:https://researchmap.jp/read0075458?lang=en
Seiji Hoshino: https://researchmap.jp/Hoshino_Seiji?lang=en
Hiroki Kikuchi: https://researchmap.jp/read0184866?lang=en
Genji Yasuhira: https://jsps.academia.edu/GenjiYasuhira

宗教史研究の第一線でご活躍なさっている三名が一同に介する本ラウンドテーブルは、近世・近代の宗教史研究の過去・現在・未来を分野横断的に議論するためのまたとない貴重な機会です。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

文責:安平弦司

【ビデオ公開:レクチャー編】Self Care and Peer Support Workshop

歴史家ワークショップでは、新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの大学院生・研究者が、今まで通りに研究を遂行することが物理的・精神的に難しい状況下において、研究上の悩みを共有できる場、セルフケアやピアサポートを通じたストレスコーピングの方法についてのワークショップ開催を求める声を受け、2020年6月25日に「Self-Care and Peer Support Workshop」を開催しました。

当日は、グリーフケアを専門とする一般社団法人リヴオンより尾角光美氏と水口陽子氏を講師として迎え、レクチャーとグループワークという2部構成のワークショップでした。
(開催内容の詳細はこちら!)

前半のレクチャー部分をより多くの方々にお届けできるよう、ビデオ公開することにしました。(プライバシーへの配慮の観点から、参加者のお顔にモザイク加工をさせていただいております旨、ご了承ください。)

いまなお、新型コロナウイルス流行終息の出口が見えず、先が見えにくい状況であることに変わりはありませんが、このような状況下であるからこそ、いつも以上に、自身の心・身体を大切にしながら、日々の生活・研究活動を続けていくための「ちょっとした術(姿勢やスキル)」を、今回のワークショップのレクチャー編(以下のビデオ)からお持ち帰りいただき、ご活用いただけましたら幸いです。

▼「セルフケア」についてと『ピアサポート』

なお、歴史家ワークショップでは、本イベントの趣旨を汲んだ「ピアサポート・プロジェクト」も行っています。ご関心のある方は、ぜひお気軽にそちらの場もご活用ください。

Coffee Time Series第1回第2回、第3回:2020年12月11日開催予定)


(企画担当:藤田風花、紺野奈央)

【開催レポート】Self Care and Peer Support Workshop (2020年6月25日開催)

2020年6月25日(木)に「セルフケア・ピアサポートワークショップ」がオンラインで開催されました。企画運営を担当した藤田風花さんによる本イベントのレポートを以下に掲載いたします。

【開催趣旨】

歴史家ワークショップはこれまでにも英文校閲WSやCoffee Time Seriesなど、「ピアサポート」、すなわち研究対象や方法論の違いを超えて研究者たちが仲間同士を支え合う水平関係でのサポートを実践してきました。本企画はより根本的なレベルに立ち返り、「そもそもピアサポートとは何か」について考えるためのイベントとして開催されました。

これまで、研究や教育活動に携わるなかで悩みが生じたとき、多くの人が「自己流」で対処してきたのではないかと思います。しかし新型コロナウイルスの感染拡大により、研究仲間や同僚との対面でのコミュニケーションの機会が失われたこと、さらに日常生活と研究活動との切り替えや、留学や史料調査の予定変更とキャリアへの影響、オンライン講義の受講や準備にたいする疲労等の新たな問題にも向き合わざるをえない状況が続いています。

そのような状況において、今回の企画は実際に歴史研究に携わっている方々から寄せられたセルフケアについてのイベントを希望する声から出発し、歴史家ワークショップとしては「セルフケア」に主眼をおいた初めての試みとなりました。いま一度セルフケアについての基本的な知識を得ることから始め、それを実践に繋げるというプロセスを体験する場として、レクチャーとワークショップの二部構成で実施されました。グリーフケアを専門とする一般社団法人リヴオンの尾角光美氏と水口陽子氏を講師に迎え、歴史家ワークショップ事務局の紺野奈央と京都大学大学院文学研究科博士後期課程の藤田風花が企画運営・進行を務めました。

【第一部】レクチャー「セルフケア実践につながる姿勢とスキルを学ぶ」

55名が参加した第一部では、まずセルフケアについての基礎的知識のレクチャーがおこなわれたのち、自分自身の現在の状態を俯瞰的に見るためのいくつかのスキルが紹介されました。ミニワークが取り入れられ、Zoomのチャット機能を活用して講師と参加者とのリアルタイムでのやりとりが講義と並行しておこなわれるなど、双方向的な要素が盛り込まれていました。教わったスキルをその場で実践し、効果を実感することは、参加者それぞれがセルフケアのスキルを自分のものとしていくうえで有意義なプロセスであると感じました。また、セルフケアについてさらに専門的な内容を知りたい人のために、参考文献もいくつか紹介されました。

レクチャーの後半では、セルフケアの実践に焦点があてられ、「ピアサポート」の意義と実践方法について説明されました。続いて、本イベントに集った参加者のピアの力を活かすことのできる実践方法として「当事者ミーティング」の手法が紹介されました。

【第二部】ワークショップ「当事者ミーティングの体験を通じピアサポートにふれる」

休憩を挟んで再開された第二部には20名が参加し、第一部のレクチャーで紹介された「当事者ミーティング」を実際に体験することに主眼がおかれました。はじめに、尾角氏のファシリテーションのもと、紺野と藤田、そして本企画有志の市川佳世子・安平弦司・吉川弘晃を加えた6名でデモンストレーションをおこないました。

その後、Zoomのブレイクアウトルーム機能を使用して参加者全体が5つのグループに分かれ、「当事者ミーティング」を体験しました。各グループでは、上記6名と水口氏、森江健斗が進行役を務め、グラフィック・ファシリテーションの手法をもちいて話し合いの内容を可視化しました。まず、参加者に「現在気になっている・困っていること」や「実現したいこと」をいくつか書き出してもらい、時間の制約上そのなかから1つを取り上げ、グループ全体で共有しました。次に、悩みを共有してくれた参加者に、具体的な質問を投げかけることで、その悩みの背景を掘り下げました。続いて今度は悩みを共有してくれた参加者は聞き役に徹し、他の参加者がその悩みの解決に向けて思いつくかぎりのアイデアを出していきました。ここでは、議論を戦わせたりアイデアに優劣をつけたりすることは求められません。というのは、自分の共有した悩みの解決方法についてのアイデア出しを黙って聞いている参加者が、心のなかで自分自身が取り入れられそうなものだけを持ち帰ればよい、とされているからです。

グループワークを終えて全体のルームに戻ってきたのち、参加者全員が感想を述べて第二部は終了しました。「自分の悩みが自分以外の人たちで話し合われることで悩みを客観視できた」、「システマティックに時間を区切って行われたので、悩み相談にありがちな『だらだら続いて疲弊する』ということがなくよかった」「『ピア』の力を実感した」などの声があり、参加者が「当事者ミーティング」を楽しんだ様子が印象的でした。

【参加者の声】

・ピアサポートにおける「ルール」や「方法論」がわかり、何に気をつけたらいいのかわかったのがよかった。(修士課程、レクチャー・ワークショップ両方に参加)

・レクチャー内での質問に回答し共有することで、自分の問題や抱えていることに気づくという点ではセルフケアの手助けになった。自分だけの問題ならカウンセラーに相談するのはできるが、ほかの人の問題も共有し、お互いに悩みや思いを聞くことができたのがよかった。(修士課程、レクチャーのみ参加)

・専門家でなくても、ピアでできる支援を体験できたことは貴重な機会でした。また、そこで出てくる結論だけでなく、グループワークを行う過程で見えてくることもあり、それ自体がとても良い体験でした。(ポスドク、レクチャー・ワークショップ両方に参加)

・オンラインという制約がある以上いっても仕方がないことではあるのですが、やはりこうしたワークショップはぜひとも対面でやりたいなと思いました。ワークショップそのものについては、研究者という同じ立場の方々の悩みについて、自分ならどうするか、相手の悩みの解決のためにどうするかを能動的に考えるなかで、自分の中で燻ぶっていた悩みについても客観的に考えることができたので、得られるものも多く、とても面白かったです。(博士後期課程、レクチャー・ワークショップ両方に参加)

【おわりに】

欧米の大学では重視されているものの日本ではあまり馴染みのないピアサポートですが、今回のイベントを通じて、そのようなサポートを望んでいる人が多く存在するということを強く感じました。参加者の皆さんからは「当事者ミーティング」をあらためて実施する機会を希望する声を多くいただいているので、将来的にまた「当事者ミーティング」にフォーカスしたピアサポートの場を用意できればと思います。

イベントの最後に、尾角氏が「歴史家ワークショップとイベントへの参加をとおしてそれにかかわる人々の集まりは、潜在的にピアの力が非常に強いコミュニティである」とおっしゃったことが、とても印象的でした。個人レベルでのセルフケアを大切にしつつ、コミュニティレベルでピアの力を最大限に活用することができれば、アカデミアの「基礎体力」を向上させることにもつながるのではないかと感じています。本イベントで紹介・実践した「当事者ミーティング」を、参加者の皆さんがアカデミアにおけるピアサポートの有効な実践方法として受け止めてくださっていれば、大変嬉しく思います。

最後になりましたが、詳細なレクチャーとリラックスした雰囲気づくりをしてくださったリヴオンのお二方、双方向的なやりとりを可能にしてくださった参加者の皆さま、そして本企画の運営をサポートしてくださったすべての方々に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

文責・藤田風花

【参加者募集】Self Care & Peer Support Workshop(6/25 thu 16:30-19:45)

歴史家ワークショップでは、6月25日(木)に、「セルフケア・ピアサポートWS」をオンラインで開催いたします。

コロナの影響により、多くの大学院生・研究者が、今まで通りに研究を遂行することが物理的・精神的に難しい状況に置かれています。歴史家ワークショップにも、このような状況下における研究上の悩みを共有できる場、セルフケアやピアサポートを通じたストレスコーピングの方法についてのワークショップ開催を求める声が寄せられました。

歴史家ワークショップはアカデミアにおけるピアサポートを普段から重視してきましたが、今までそのスキルや仕組みをテーマにした話し合いや研修の機会を持つことはなかなかできていませんでした。他方、海外の大学ではリサーチ・スキルの一環としてピアサポートやセルフ・メンタリングのセミナーが大学院生や若手研究者のために開催されています(Silent Coaching, Active Listening, Action Learning Setなど)。

今回はグリーフケアを専門とする一般社団法人 リヴオンより、尾角光美氏と水口陽子氏を講師にお迎えします。レクチャーでは、セルフケアにおいて重要なスキルと、スキルを実践していくための土台としてのセルフケアの概念や「自分自身を大事にする」というあり方や価値観について学ぶこと。また、ワークショップ(グループワーク)による体験を通じて、自分自身のセルフケアを再定義することを目指します。

歴史家ワークショップにとっても、初めての試みとなるトピックとなりますが、「自分を大切にしながら」研究を続けるためのノウハウとスキルを、各自持ち帰っていただく時間となりましたら幸いです。

ご興味のある方は、ぜひ奮ってご参加ください!

開催概要

対象|歴史学研究や歴史家ワークショップに関わる大学院生・研究者
費用|無料
場所|オンライン開催(Zoom使用)
言語|日本語

内容
【第1部 レクチャー:16:30-18:00】 
セルフケア実践につながる姿勢とスキルを学ぶ

「自分をどう扱っているのか」を問うところからはじめます。セルフケアの概念・あり方・スキル、ピアサポート(※1)について、レクチャー形式で学びます。

【第2部 ワークショップ(グループワーク):18:15-19:45】
 “当事者ミーティング”の体験を通じたピアサポートにふれる

専門家が入らなくても当事者同士で課題解決方法や実現したいこと・あり方への「次の一歩」を見つけることを目的とし、「当事者ミーティング(※2)」というピアサポートのプログラムを実際に体験することで学ぶワークショップ(グループワーク)です。

※1 ピアサポート:一言では「仲間による支援」のことを指す。近い経験をした者同士や、同様の立場の人たちが支え合ったり、力づけあうこと(エンパワメント)を意味する。

※2 当事者ミーティング:専門家が入らなくても、近い立場にある当事者の間で課題解決や、実現したいことに対して自分が具体的に取り組める「次の一歩」を見つけられる対話型ワークショップ。

講師プロフィール

◆尾角 光美(おかく てるみ)一般社団法人 リヴオン代表理事
19歳で母を自殺により亡くし、2009年にリヴオンを設立し活動してきた。著書に『なくしたものとつながる生き方』(サンマーク出版)。国際比較社会政策学修士。

◆水口 陽子(みずぐち ようこ)一般社団法人 リヴオン理事
2012年に夫を事故で亡くした事をきっかけにリヴオンと出会う。現在全国の自治体、学校、仏教教団における講演や研修、担い手の養成事業等を担当。

参加登録

以下のリンクからお願いいたします。
「セルフケア・ピアサポートWS」参加登録フォーム

なお、参加には二つの方法があります。登録フォーム内にてお選びください。

  • 【第1部:レクチャー】+【第2部:ピアサポート実践のためのワークショップ(グループワーク】両方参加(定員:25名)
    残枠 5名となりました!6月22日(月)までの締切となっています。
      先着順となりますので、お早めにお申込ください。
  • 【第1部:レクチャー】のみの参加(定員:100名)
    ⇒ こちらについては、締切を設けませんが、先着順となります。
    定員となりました場合、ご希望に添えない場合があります旨、ご了承ください。

参加に必要なものについて
お申込いただいた方には、事前に当日資料とZoomリンクを、ご登録いただいたメールアドレスにお送りします。

お問い合わせ
歴史家ワークショップ(担当:紺野・藤田)
rekishika.workshop@gmail.com

ラウンドテーブル・ディスカッション「西洋古代史・中東史研究の国際化にむけて」開催報告

17FebRoundtablediscusion
会場のようす

2020年2月17日に「西洋古代史・中東史研究の国際化にむけて」を開催しました。カナダ・トロント大学の2人の研究者、キャサリン・ブルーアン氏(古代ローマ史・エジプト史)とギリシュ・ダスワニ氏(ガーナをフィールドとする人類学)に対して、熊倉和歌子氏(東京外国語大学・エジプト中近世史)と歴史家ワークショップ運営委員の高橋亮介が自らの経験を語りつつ質問を投げかけ、それへの応答、さらにフロアからの発言を交え、西洋古代史・前近代中東史の国際化の現状と問題点について話し合いました。

ケベック州出身でフランス語を母語とするブルーアン氏にとって、フランス留学は研究者としてのキャリアを積む上で必須であり、フランス語での書籍・論文の出版もしてきたが、アメリカでのパピルス学のサマーセミナーに参加したことで英語圏での人脈が広がり、英語での研究発表にシフトしていったとのことでした。さらにSNSでの英語による発信に対して想像以上の反響があり、講演に呼ばれる機会も増えたそうです。

ブルーアン氏の近年の研究発表は査読付きの学術雑誌への投稿ではなく、論集への寄稿が中心であるとのことです。氏が編者となる論文集への熊倉氏の寄稿も、共通の知り合いであるカナダ人研究者の紹介で実現したそうで、個人的なつながりの重要性が強調されました。

ギリシュ氏からは、査読誌への投稿の際には、その雑誌の性格や編集委員がどのような人であるかを研究する必要があること、また学術活動全般において、キャリアの早い段階や新しい環境に移った際には自分の有能さを証明することは必要であるかもしれないが、その後は他者との競争よりも共存・共生によって研究を盛り上げるべきであるとの指摘がありました。

他にも元来、西欧諸言語を研究発表に用いてきたパピルス学における英語使用の進展の状況、カナダの大学の英語圏の大学のなかでの位置づけなどについて議論が交わされました。

特定の研究分野を念頭においた企画でしたが、いくつかの話題は歴史研究のあり方全般にも及ぶものとなりました。現在の学術活動には解決の難しい構造的な困難や権力関係があることも確認されましたが、そのような問題に自覚的であり続けることが必要だと感じさせるイベントとなりました。

3月12日(木)西洋中世学会若手セミナー中止のお知らせ


2020年3月12日(木)に予定されていた‪西洋中世学会若手セミナー「西洋中世学研究者のためのデジタル・ヒューマニティーズ入門」‬につきまして、昨今の新型コロナウイルス流行の状況に鑑み、中止することにいたしました。

すでに定員近い方々にご応募いただいており、そうした中でこのような決定をするのは大変残念です。

今後の対応については、来年度への延期も含め現在検討中です。詳細が決まり次第、改めてご連絡申し上げます。

 実行委員長 纓田宗紀

3月10日Roundtable開催延期

先ごろ、新型肺炎流行の現状に鑑み、Peter Lake教授招聘を見送るというお知らせをさせて頂きました(https://historiansworkshop.org/2020/02/23/lake-cancel/)。その後、3月10日のRoundtableを日本側の登壇者・参加者のみで開催するかどうか検討して参りましたが、この度、残念ながらRoundtableの開催を延期させて頂く決定を下しました。今のところ、Lake教授には、今年12月半ば頃に改めて来日日程を調整して頂いております。今回予定しておりましたRoundtableはLake教授の来日時に改めて開催させて頂きたく存じます。ご登壇予定だった先生方、そしてご参加予定だった皆さまには、お手数・ご迷惑をおかけしますが、改めてRoundtableが開催される際には、どうぞよろしくお願い申し上げます。

Peter Lake教授招聘見送り(2月28日・3月10日)

2月28日と3月10日のPeter Lake教授招聘イベントに関して、新型肺炎流行の現状を踏まえた、本会の対応についてご報告致します。

アメリカ疾病管理予防センター (Centers for Disease Control and Prevention:CDC) は2月22日に、アメリカ在住者に向け、日本への渡航に関するAlert – Level 2, Sustained Community Transmission—Special Precautions for High-Risk Travelersを発表しました (https://wwwnc.cdc.gov/travel/notices/alert/coronavirus-japan?fbclid=IwAR3H2dmn8nCZNg4Cb0no3nrLKc13SpYQ-JITcSG3YJ33CX5jCQvDSTx502A)。これは3段階ある渡航リスク指標のうちの2つ目にあたります(平時はLevel 0)。これを受け、イベント主催者である本会は、アメリカにお住まいのLake教授をこの時期の日本にお呼びするのは避けるべきだと判断致しました。残念ながらLake教授には今回の渡航をキャンセルをして頂くことになりましたが、また別の機会に来日して頂く方向で調整を進めております

2月28日のColloquiumに関しては、会場での衛生対策を十分に行った上で、Lake教授を除く日本側の登壇者・参加者の有志での開催を予定しております。ただし、当日までの状況の変化に応じて、開催中止も含めて柔軟な対応をとっていく所存でございます。現時点で参加を希望されている方のうち、まだご連絡頂いていない方は、安平(genji.yasuhira[a]u.musashi.ac.jp)までご一報頂ければ幸いです。

https://historiansworkshop.org/2020/01/31/lake1-02-28/

3月10日のRoundtableに関しては、Lake教授を除く日本側の登壇者・参加者のみで開催するか否か、3月3日までには最終決定する予定でおります。続報をお待ち頂ければ幸いです。

https://historiansworkshop.org/2020/02/06/lake2-03-10/