【開催告知】配信時代のアウトリーチ(9/25 21:00-)

「私たちの研究は私たち以外に届いているのだろうか?」
…研究者なら1度は考えるだろうこの問いに、あなたはどう答えを出しますか。

近年、大学が生み出す知、とくに人文学の知が軽視されるなかで、研究者による社会へのアウトリーチの重要性が叫ばれています。2019年7月に開催した企画「バズる(?)アウトリーチのすすめ——公益性のある情報発信に向けて」では、研究者はいかにアウトリーチすべきか、若手研究者2名、編集者1名からお話を伺いました。

ですが、研究者がアウトリーチを行ったとして、はたしてそれは「アカデミア外」に届いているのでしょうか。YouTube、オンライン・セミナー、podcast etc…歴史にまつわる「面白く」て「ためになる」コンテンツは、今も昔もさまざまなメディアに溢れています。そのなかで研究者の発信は「小難しくて」「簡潔でない」つまらないものと看做されてはいないでしょうか。

本イベントでは、アカデミア内外で活発な活動を繰り広げる2人の研究者をお呼びし、配信時代のアウトリーチについてお話を伺います。YouTubeが主な情報インフラと化し、学術交流の中心もオンラインに移行しつつある現代にあって、研究者によるアウトリーチの可能性はどう開かれているのでしょうか。

さあ、あなたも一緒に「配信時代」のアウトリーチについて考えてみませんか?

日時・場所

日時|2021年9月25日(土)21~23時
場所|歴史家ワークショップ公式YouTubeチャンネル生配信
参加登録|不要

当日はTwitterハッシュタグ #歴史家ワークショップ にてコメントや質問も受け付けます。

登壇者

藤村シシン|古代ギリシャ研究家
高校の時にアニメ『聖闘士星矢』に熱中し、以来古代ギリシャ史の世界に。東京女子大学大学院(西洋史学専攻)修了。NHK講座講師、執筆、監修などのかたわら、古代ギリシャの祭りを再現する「古代ギリシャナイト」を主宰。著書に『古代ギリシャのリアル』(実業之日本社)、『小学館の図鑑NEO 星と星座(新版)』監修協力、2020年東京オリンピック採火式NHK生中継での古代ギリシャ語同時翻訳など。
YouTubeチャンネル「藤村シシン古代ギリシャ

ヒロ・ヒライ|コロンビア大学リサーチ・アソシエイト(ルネサンス学)
1999年より学術ウェブサイト bibliotheca hermetica(略称BH)を主宰。同年にフランスのリール第三大学にて博士号(哲学・科学史)取得。欧米各国の研究機関における研究員を歴任。英仏伊語による編著・論文多数。2012年に第九回日本学術振興会賞受賞。編著書に『ルネサンス・バロックのブックガイド』(工作舎)など。
YouTubeチャンネル「BHチャンネル


皆さまの温かなご支援を心よりお願い申し上げます
歴史家ワークショップ支援基金

【参加者募集】Front Runner Series: 多言語論文執筆セミナー Vol. 9(9/8 14:00-15:30)

※こちらのイベントでは小俣ラポー日登美さんにお話をうかがう予定でしたが、事情により小俣さんのご登壇はキャンセルとなりました。つきましては、Front Runner Series Vol. 9 はスピーカーとして山本浩司さんをお迎えし、当初の予定どおり9月8日に開催いたします。

歴史家ワークショップでは、9月8日(水)14:00~15:30(日本時間)に、「Front Runner Series: 多言語論文執筆セミナー Vol. 9」と題したオンライン・セミナーを開催いたします。また同日15:30~16:30には、任意参加の懇親会を予定しております。

開催概要

日時|9月8日(水)14:00~15:30:セミナー/15:30~16:30:懇親会(任意参加)
ゲストスピーカー山本浩司さん(東京大学・経済学研究科准教授)
ファシリテーター米倉美咲(京都大学・修士課程)、長野壮一(フランス社会科学高等研究院・博士課程)
費用|無料
場所|Zoom を利用したオンライン開催(リンクは、登録フォームにご記入のメールアドレスへイベント当日の朝に送付します)
登録https://forms.gle/HBiGQTA2HtqUdQQH8

※歴史学系の学生・研究者のみならず論文執筆や外国語での執筆にご関心のある方は、どなたでもお気軽にご登録ください。

このセミナーでは、とくに歴史学分野で活躍するノンネイティヴの若手研究者から外国語(もしくは非母語)での執筆経験談を共有していただくことで、「外国語(もしくは非母語)での論文執筆における壁」を乗り越えるヒントの得られる場を提供することを目的としています。具体的には、外国語(もしくは非母語)での論文執筆にさいして実践している工夫から、博士論文・単著・編著の一章分など異なるフォーマットの書き分け方まで、スピーカーの体験にもとづいたスキル面の情報提供をおこないます。それだけでなく、国外の出版社からの出版、留学、研究の進め方、国際学会でのネットワーキングなど、外国語(もしくは非母語)での論文執筆に関わる経験談もお話しいただきます。最後に、質疑応答や懇親会をつうじて、参加者のみなさんと外国語(もしくは非母語)での執筆にかんする悩みや体験談を共有することで、この問題についての理解を深め、実践のための知恵を蓄積することをめざしています。

今回は、予定を変更して設立当初から歴史家ワークショップの活動に携わっている東京大学経済学部准教授の山本浩司さんをお招きし、米倉美咲(京都大学・修士課程)と長野壮一(フランス社会科学高等研究院・博士課程)がファシリテーションを担当します。英語での学術研究書(単著・編著)を出版する過程での工夫や苦労、海外の研究機関において学際的な研究経験を積んでこられたご経験などについて、ざっくばらんにお話しいただきます。

ご関心のある方は、ぜひお気軽にご参加ください。

スピーカー・プロフィール

山本浩司リサーチマップ
2003年慶應大学法学部政治学科卒業後、ロータリー国際親善奨学生に選出され【英】ヨーク大学18世紀研究所および歴史学科にて2004年と2005年に18世紀研究と歴史学で修士号を取得。2009年に同大学に博士論文を提出し、その後2016年までロンドン大学、セント・アンドリューズ大学、パリ第7大学、ケンブリッジ大学でポスドク研究員として活動。2016年4月に東京大学経済学研究科専任講師に着任、5月に歴史家ワークショップ第1回の企画・運営に携わる。2018年10月より准教授。

主な研究分野はイギリス近世史・経済史・経営史で、今後の研究テーマは1)インフォーマルセクターにおける女職人の管理統制、2)インフラ整備における院外民主主義の役割、3)商品としてのステレオタイプ、4)南海泡沫事件。

主要業績
Koji Yamamoto, Taming Capitalism before its Triumph, Oxford University Press, 2018.
Koji Yamamoto (ed.), Stereotypes and Stereotyping in Early Modern England: Puritans, Papists and Projectors, Manchester University Press, forthcoming.

関連動画 (2011年時点で研究生活について振り返ったもの。視聴は必須ではありません。)

参加登録

参加をご希望の方は、こちらのフォームよりご登録をお願いいたします。

ご質問などございましたら、こちらまでお気軽にご連絡ください。
Front Runner Series 企画運営:米倉美咲(京都大学大学院・修士課程)
front.runner.series@gmail.com

スキル・ワークショップ「歴史地図を描く」開催報告

去る7月27日、スキル・ワークショップ「歴史地図を描く —研究発表に使える作画法—」が開催されました。その内容について、参加者の北川涼太さん(広島大学)にレポートを執筆していただきましたので、以下に掲載します。

趣旨説明

2021年7月27日(火)の19時から、スキル・ワークショップ「歴史地図を描くー研究発表に使える作画法ー」がオンライン形式で開催された。研究報告や論文執筆に際して、当時の状況を示した地図を利用しなければならない、あるいは利用したいと思うことは多い。しかし自分のニーズに合った地図を見つけ出すのは困難であり、だからといって手書きで作成するとしても、膨大な手間と時間がかかってしまう。

今回、講師を務めていただいた衣笠太朗先生(秀明大学)は、著書『旧ドイツ領全史ー「国民史」において分断されてきた「境界領域」を読み解く』(パブリブ、2020年8月)執筆時に、こうした歴史地図をめぐる問題と向き合うこととなった。衣笠先生は歴史地図や製図の専門家というわけではなく、試行錯誤の末、インターネット上のフリーデータとフリーソフトを用いて歴史地図を作成するという方法にたどり着いたのである。

ワークショップの概要

ワークショップは、レクチャー編と実践編と2パートから構成された。

まずレクチャー編では、衣笠先生が30分ほど、デジタルを用いた歴史地図作成のプロセス、とくにその際使用するフリーデータとフリーソフトについて説明された。デジタルで歴史地図を作成するメリットは、地図の加工・編集が容易なことである。手書きであれば、下敷き地図やトレーシングペーパーなどを用意しなければならず、完成までに数多くの工程をこなさなければならない。そしてやっと仕上がった完成品も加工がしづらい。それに対してデジタルでは、インターネットから編集用のフリーソフトとフリーの地図データを入手することができ、自由に変形したり編集することが可能で、さまざまな形で利用することができる。しかも、作業に使用するパソコンは、とくにスペックが高くなくても問題ない。歴史地図作成のために、専用の作業環境を整える必要がないのである。

具体的なプロセスは、フリーの白地図データと、その下敷きとなる歴史地図のデータをダウンロードした後、フリーソフト上で両者を重ね合わせ、下敷きの地図から白地図へ必要なデータ(地形・境界線・都市など)をトレースしていくことになる。その際、使用する白地図のデータはベクター画像でなければならない。ベクター画像であれば、画像を縮小・拡大・変形したとしても乱れることがない。

そして実践編では、1時間程度の時間をとり、16世紀神聖ローマ帝国の歴史地図を実際に作成した。参加者は、衣笠先生の作業の様子を見ながら、気になった点を質問したり、自分の手元で同じ地図作りを体験することができた。レクチャー編で基本的な流れが説明されていたとはいえ、いざ地図を作るとなると、いろいろな細かい問題に出くわすこととなる。この実践編では、そのつど疑問点を質問しながら、歴史地図が作成されていく過程を確認、あるいは実際に体験することができた。

参加者の意見(アンケート結果より)

よかった点

  • 口頭での説明に加えて実際の作業の様子を見ることができ、地図作成プロセスのイメージを持つことができた。
  • 掛け合いで進む方式のため、一人がまとめて講演するより、飽きることなくわかりやすかった。
  • 地図作成は教員の仕事(授業資料やテスト作成など)でないと困る技術だが、直接情報を得ることが難しい。今回の企画はまさに「かゆいところに手が届く」企画だった。

気になった点

  • 実践編で、細かい作業に集中していたら、全体でどの作業について説明しているのかわからなくなってしまった。チャットで、現在どの作業について説明しているのか知らせてほしい。
  • 未経験者に2時間半(休憩無し)はしんどく、途中で集中が切れてしまった。
  • 衣笠先生が紹介された方法より、もっと効率的なやり方がある。そちらについても紹介してほしい。

企画・司会:吉田瞳(京都大学大学院文学研究科博士後期課程・ドイツ中近世史)
執筆:北川涼太(広島大学・博士課程後期)


※運営追記

講師の衣笠先生のご厚意により、当日のワークショップの様子をYouTubeにて公開する許可をいただきました。以下にリンクいたしましたので、ぜひお役立てください!

【参加者募集】スキル・ワークショップ「歴史地図を描く—研究発表に使える作画法—」開催のお知らせ

歴史家ワークショップでは、7月27日(火)にスキル・ワークショップ「歴史地図を描く—研究発表に使える作画法—」を開催いたします。本イベントでは、歴史地図の描き方を、『旧ドイツ領全史』(パブリブ)著者の衣笠太朗先生(秀明大学)に、オンラインにてレクチャーしていただきます。歴史学を専攻する大学生・大学院生だけでなく、ひろく歴史に興味のある方に向けた内容になっております。

当日は、企画者の吉田による司会進行のもと、講師の衣笠先生から、フリーデータ&フリーソフトを使った歴史地図の作成方法をお教えいただきます。あなたも「自分の研究にぴったり」な歴史地図を描いてみませんか?

開催概要

日程|7月27日(火)19時〜(18:45~入室可)
場所|Zoom開催。URLは申し込み後に参加者に連絡します。
言語|日本語
参加費|無料
参加申込フォームhttps://forms.gle/jp9o5gCuy49LH1xc7
登録締め切り|7月20日(火)

講師プロフィール

衣笠太朗|秀明大学 学校教師学部 助教
著書:『旧ドイツ領全史―「国民史」において分断されてきた「境界地域」を読み解く』(パブリブ、 2020年8月)

企画・司会|吉田瞳(京都大学大学院文学研究科博士後期課程・ドイツ中近世史)
連絡先|inkaffeepause☆gmail.com (☆を@に変えてください)

Front Runner Series vol. 7 の資料を共有します

2021年5月20日(木)に開催された Front Runner Series vol. 7 はおかげさまで盛況のうちに終了いたしました! 登壇者の仲田公輔さんから使用したスライドを共有いただきましたので公開いたします。

次回 Front Runner Series は7月15日に開催予定です。奮ってご参加ください!

【参加者募集】Front Runner Series: 多言語論文執筆セミナー Vol. 8(7/15 17:00-18:30)

歴史家ワークショップでは、7月15日(木)17:00~18:30(日本時間)に、「Front Runner Series: 多言語論文執筆セミナー Vol. 8」と題したオンライン・セミナーを開催いたします。また同日18:30~19:30には、任意参加の懇親会を予定しております。

開催概要

日時|7月15日(木)17:00~18:30:セミナー/18:30~19:30:懇親会(任意参加)
ゲストスピーカー中尾沙季子さん(京都精華大学国際文化学部・専任講師)
ファシリテーター山田智輝(京都大学・博士後期課程)
費用|無料
場所|Zoom を利用したオンライン開催(リンクは、登録フォームにご記入のメールアドレスへイベント当日の朝に送付します)
登録https://forms.gle/Tvo29dS1u8jz3yYL7
※歴史学系の学生・研究者のみならず論文執筆や外国語での執筆にご関心のある方は、どなたでもお気軽にご登録ください。

このセミナーでは、とくに歴史学分野で活躍するノンネイティヴの若手研究者から外国語での執筆経験談を共有していただくことで、「外国語での論文執筆における壁」を乗り越えるヒントの得られる場を提供することを目的としています。具体的には、外国語での論文執筆にさいして実践している工夫から、博士論文・単著・編著の一章分など異なるフォーマットの書き分け方まで、スピーカーの体験にもとづいたスキル面の情報提供をおこないます。それだけでなく、国外の出版社からの出版、留学、研究の進め方、国際学会でのネットワーキングなど、外国語での論文執筆に関わる経験談もお話しいただきます。さらに、質疑応答や懇親会をつうじて、参加者のみなさんと外国語での執筆にかんする悩みや体験談を共有することで、この問題についての理解を深め、実践のための知恵を蓄積することをめざしています。

今回は、京都精華大学国際文化学部・専任講師の中尾沙季子さんをお招きし、山田智輝(京都大学・博士後期課程)がファシリテーションを担当します。フランス語での論文執筆・投稿における目標や工夫・苦労、フランスでの博士論文執筆のご経験、アカデミック・キャリアのあゆみなどについて、ざっくばらんにお話いただきます。

ご関心のある方は、ぜひお気軽にご参加ください。

スピーカー・プロフィール

中尾沙季子リサーチマップ
京都精華大学国際文化学部グローバルスタディーズ学科・専任講師
フランス国立社会科学高等研究院博士課程修了、博士(歴史学)
専門分野は、西アフリカ現代史、広域フランス語圏地域文化研究
おもな研究テーマは、アフリカ大陸、南北アメリカ大陸、カリブ海地域のアフリカ系といわれる人びとのアイデンティティの形成過程

参加登録

参加をご希望の方は、こちらのフォームよりご登録をお願いいたします。当日参加できないという方も、上記のフォームから参加登録していただけますと、当日の配付資料のうち、スピーカーの了解が得られた部分を抜粋してお送りいたします。

【発表者募集】第13回リサーチ・ショウケース開催のご案内

歴史家ワークショップでは、外国語(特に英語)で学問的コミュニケーションを行う機会を提供するために、リサーチ・ショウケース(Research Showcase)を2016年より開催しています。発表・質疑応答をすべて外国語で行うことで、発表者・参加者の双方が外国語での学問的コミュニケーション実践の場をつくっています。

第13回となる今回は前回と同じくオンラインで、2021年7月28日と29日に2日間にわたって開催されます。金沢百枝先生(多摩美術大学/西洋中世史・ロマネスク美術史)をコメンテーターにお迎えし、本会特任研究員の古川萌(東京大学/イタリア近世史・ルネサンス美術史)、横江良祐(東京大学/イギリス現代史・医学史)が運営を務めます。英語での発表スキルの向上をめざす全ての歴史研究者に開かれた会にするため、日本史・東洋史・西洋史・宗教史・思想史・社会経済史・文化史・美術史・歴史地理等を含むあらゆる分野から、広く発表者を募ります。様々な分野の専門家からアドバイスをいただける貴重な機会です。奮ってご応募ください。

日  時 : 2021年7月28日(水)、29日(木)両日とも17:00-20:00(日本時間)ごろ
会  場 : オンライン(Zoom)
司  会 : 古川萌(東京大学)
コメンテーター: 金沢百枝(多摩美術大学)
フォーマット: 1人あたり、発表8分+質疑応答7分
使用言語 : 英語
応募条件 : 大学院生からポスドクまでの歴史研究者
募集人数 : 16名程度
参加費  : 無料
ポスター : こちらからダウンロード
応募方法 : 発表希望者は、2021年5月19日(水)17:00(日本時間)までに以下の応募フォームに記入し、送信してください
URL   : https://forms.gle/txYEgMemtgFHSDPKA 

リサーチ・ショーケースで発表するメリット

1)発表原稿への事前のフィードバック
発表者は、開催日の2週間前に発表原稿を提出することで、ワークショップの協力者2名から事前にライティングや構成についてフィードバックを受けることができます。このため、ライティングスキルが向上し、発表にも自信をもって臨むことができます。当日は、参加者とオーガナイザーからフィードバックも得られるでしょう。

2)優秀な発表にはプライズを授与
博士号未取得の発表者の中から、最もクリアで説得力のある発表をした方に「Research Showcase Prize」が授与されます。英語の流暢さ(fluency)ではなく、内容がどれだけスムーズかつ力強く伝わるか(clarity and persuasiveness)を基準とします。

3)国際的なセミナーの雰囲気
日本国内の研究会の雰囲気と国際学会やセミナーのそれとは、発表のスタイルから、休憩時間や懇親会でのやりとりまで、大きくことなる場合もあります。若手の段階から国際的な雰囲気を体感することで、自信をもって国際的な舞台にたつことができるようになります。

4)質疑応答の練習
少なからぬ研究者が、Q&Aでの受け答えを苦手と感じているようです。肝心なのは練習をする場が国内にもあることです。ショウケース当日は、参加者全員で議論をし、特に若手に優先して発言の機会が与えられます。当日繰り返し質問をすることで、オーディエンスとしての議論の作法を身に付け、発表者は、母国語でない英語の質疑応答を通して論点を深めていく訓練をすることができます。

運営委員

金沢百枝(多摩美術大学)
古川萌(東京大学)
横江良祐(東京大学)

歴史家ワークショップ事務局 (問い合わせ先: hw.research.showcase@gmail.com

フランス語版リサーチ・ショウケース Ma recherche en 8 minutes 開催報告

2021年2月22日に、第1回フランス語リサーチショウケース : Ma recherche en 8 minutes をオンラインで開催しました(プログラムはこちら)。当日の様子を、本ワークショップのスピーカーの一人である須田永遠さんが報告してくださいました!

フランス語での初開催となった今回のリサーチ・ショウケースでは、政治史、宗教史、思想史、美術史、教育史、文学と、実に多くの専門をもつ9名のスピーカーが集まり、それぞれ8分間で自身の研究のエッセンスを紹介したのち、7分間の質疑応答にのぞみました。

当日の司会は、名古屋大学教授で18世紀科学史がご専門の隠岐さや香先生が、コメンテータは国際日本文化研究センター教授で、比較文学比較文化・文化交流史がご専門の稲賀繫美先生が務めてくださり、常時40名以上の参加者によって活発な議論が交わされました。

会の最後には、オーディエンスの投票により、発表内容や構成・議論の進め方等に基づき Research Showcase Prize の受賞者が選ばれ、今回はフランスの初期写真史について発表された、東京大学大学院博士課程1年の鈴木実香子さんが受賞されました。

日本で研究を行う仏文研究者にとってフランス語で発表する機会はそう多くありません。私自身、留学を経験し、大学院でフランス文学を学ぶ身でありながら、帰国後はフランス語で発表する機会(そして質疑に対し応答する機会)はほとんどありませんでした。また、自分の研究を8分という短い時間にまとめ、他の専門分野の方に伝えるには、普段の研究発表とは別の組み立て方が必要になります。

参加を決めたものの、当初はフランス語で発表することへの恐怖——何より質疑応答の7分間、質問に答えられない不安より質問そのものを聴き取れない恐怖——とプレッシャーに苛まれていたのですが、発表前にスピーカーのみなさんと顔合わせをした際、だれひとり例外なく緊張していることを知ってやや安堵するとともに、イベントがはじまってからは司会の隠岐先生から「質問を聞き直すことを一切ためらう必要はない」というスピーカーの指針が周知徹底されたこと、また、ギャラリーのあたたかな雰囲気が背中を押してくれました。イベント中は終始司会の隠岐先生をはじめ、コメンテーターの稲賀先生や参加者の多くがイベントを良いものにしようという意志を持ち、発表者の論点を尊重しながら鋭い質疑と真摯な応答が交わされたように感じます。みな外国語で研究の要点を発表することの困難と苦労を分かち合っているからこそ、このような素晴らしい場になったのだと確信しています。

今回のリサーチ・ショウケースで最も印象的であったこと、それは意見を述べることがそのまま相手の感情や信頼を損なうことを意味しない、すぐれて‘‘成熟した’‘場であったということです。こうした場に立ち会うことのできる機会をいただいたことを司会、コメンテータの先生方、運営委員の方々、レビュワーの先生方、参加者のみなさまに心より感謝いたします。どうもありがとうございました。


そして、今回発表されたスピーカーの方々には、後日アンケートに回答していただきました。以下では、その一部をご紹介します。

準備と発表を通して楽しめたこと、苦労したこと

楽しめたこと:外国語でアウトプットするという作業そのもの。留学経験がなく、キャリアが浅いと、なかなかこういった機会はないが、今回の機会を頂いて2ヵ月少々、準備期間は常に楽しめた。
苦労したこと:何よりも時間制限への対応。しかし、8分で報告を完結させるという経験を通じて、外国語での発表練習に留まらないそれ以上のものを得られた気がする。

(苦労したこと)フランス語で発表する一方、聞き手が日本人(それも異分野の研究者)である点で、用語の選定や説明の方法に苦労しました。稲賀先生も指摘されていましたが、研究者としてフランス語で何かを発表するときには、「フランス語圏出身」という背景を持つ人を相手にすることが想定され、日本人の発表者としての研究の特徴などを意識して発信することになると思います(もちろん第二言語としてフランス語を使う人口も多いので、この限りではないですが、英語に比べれば頻度は高いと思います)。原稿を書き始めた時、まずこの問題に直面して、消化しきれずに終わってしまいました。研究者として今後も考えて行かなければならない問題だと思います。

フランス語で学術的な文章を書くのがほとんどはじめてのことだったので、やはり初稿の作成に一番苦労しました。これにだいたい、10日間くらいかかりました。その後、レビュアーの先生からコメントをいただくのですが、これを読むのがとても面白かったです。というのも、文法や表現に限定されないコメントによって、蒙がひらかれ、今後の課題がよく見えるようになったからです。

今後の参加者と共有できそうなこと

もし可能なら、ネイティブ相手でなくとも良いので、リハーサルをする。発音を直してもらえたり、PowerPointの不備を指摘してもらえたりと、発表の質が上がる。
もし原稿の執筆過程で削ったところがあるのなら、質疑応答に備えて残しておく。「発表に欠けている部分」であることに変わりないので。
他の発表者のレベルが想像以上に高かったとしても、凹まない。分野も異なれば、キャリアも違う。乗り切った自分たちを褒めるべき。

限られた時間の中で自分の研究の要点を伝えるにあたって、情報を適切に取捨選択すること。

リバイズのときに、こんな質問がくるかも、ということを考えながら、何を残し、どこを削り、あるいはここは補足説明を足す必要がある、などを考えることは、当日の質疑の緊張対策としても、表現の幅を広げるうえでも有益でした。

Research Showcase への参加が今後のキャリアと研究にどのように役に立ちそうか

自分の研究の要点をフランス語でまとめる(かつ、覚える)ことになったので、留学や国際学会でストレスなく会話が出来そう。
フィードバックでの指摘を受けて、ざっくり削る勇気を持てた。自分がこだわりたいところと、聴衆にとって大切な情報とを、分けて考えられるようになった。

今後フランス語圏での発表に向けての練習になったのは勿論のこと、ここまで分かりやすさに拘って報告準備したことは意外になかったので、普段のゼミから学会報告まで、あらゆる研究報告に向けた意識改革になった。
原稿のフィードバックでは、簡潔明瞭さを意識しつつも、口頭報告ではどの語を指すか聞き手に考えさせてしまうような代名詞の使い方は避けねばならない、という教訓を得た。

仏語での執筆や発表がはじめてだったので、出来栄えはともかく、それをやり遂げることができたことに自信をもつことができました。今後、国内外での発表に挑むための経験を積むことができたかなと思います。


まとめ

以上、フランス語版リサーチショウケースは初回開催でしたが、日本各地、そしてフランスやスイスからの多くの参加者を得て、盛況のうちに終えることができました。隠岐先生、稲賀先生をはじめ、レビュアーとして発表者の原稿に多くの貴重なご助言を与えてくださった先生方、当日お越しくださった参加者のみなさんに心から感謝いたします。好評につき、フランス語版リサーチショウケースは第2回開催を予定しています。英語版と併せて、次回告知にご期待ください!

【参加者募集】Front Runner Series: 多言語論文執筆セミナー Vol. 7(5/20 17:00-18:30)

歴史家ワークショップでは、5月20日(木)17:00~18:30(日本時間)に、「Front Runner Series: 多言語論文執筆セミナー Vol. 7」と題したオンライン・セミナーを開催いたします。また同日18:30~19:30には、任意参加の懇親会を予定しております。

開催概要

日時|5月20日(木)17:00~18:30:セミナー/18:30~19:30:懇親会(任意参加)
ゲストスピーカー仲田公輔さん(岡山大学社会文化科学学域/文学部・講師)
ファシリテーター大津谷馨(リエージュ大学・博士課程)
費用|無料
場所|ZOOMを利用したオンライン開催(リンクは、登録フォームにご記入のメールアドレスにイベント当日の朝に送付します)
登録https://forms.gle/AAiGWg1HyaFhw8Us5
※歴史学系の学生・研究者のみならず論文執筆や外国語での執筆にご関心のある方は、どなたでもお気軽にご登録ください。

このセミナーでは、特に歴史学分野で活躍するノンネイティブの若手研究者に外国語での執筆経験談を共有していただくことで、「外国語での論文執筆における壁」を乗り越えるヒントの得られる場を提供することを目的としています。具体的には、外国語での論文執筆に際して実践している工夫から、博士論文・単著・編著の一章分など異なるフォーマットの書き分け方まで、スピーカーの体験に基づいたスキル面の情報提供を行います。それだけでなく、国外の出版社からの出版、留学、研究の進め方、国際学会でのネットワーキングなど、外国語での論文執筆に関わる経験談もお話しいただきます。さらに、質疑応答や懇親会を通じて、参加者のみなさんと外国語での執筆に関する悩みや体験談を共有することで、この問題についての理解を深め、実践のための知恵を蓄積することを目指しています。

今回は、岡山大学講師の仲田公輔さんをお招きし、大津谷馨(リエージュ大学・博士課程)がファシリテーションを担当します。英語での論文執筆・投稿における目標や工夫・苦労、イギリスでの博士論文執筆のご経験と単著出版に向けたプロセス、院生・キャリア初期研究者中心のワークショップを元にした編著出版への参加、英語や日本語で出版された学術論文と博士論文との関係などについて、ざっくばらんにお話いただきます。ご関心のある方は、ぜひお気軽にご参加ください。

スピーカー・プロフィール

仲田公輔(リサーチマップ
岡山大学社会文化科学学域/文学部講師(2020年~)。2012年、東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了。2020年、セント・アンドルーズ大学歴史学部博士課程修了。PhD(History)。研究関心は、①ビザンツ帝国のアナトリア東部境域統治、②ビザンツ統治時代アルメニアにおける社会・文化の変容、③ビザンツの外交・他民族統治におけるキリスト教文化(特に聖人崇敬)の利用。主な論文に、Uxtanes of Sebasteia and Byzantine Armenian Relations in the Tenth Century, Revue des Études Arméniennes 38 (2018/9), pp. 167-194など。

参加登録

参加をご希望の方は、こちらのフォームよりご登録をお願いいたします。

2020年度 Coffee Time Series 開催報告書

2020年度、歴史家ワークショップでは、大学院生の研究生活をサポートするイベントシリーズ Coffee Time Series の開催を支援してきました。本イベントシリーズの取り組みは、当事者でもある大学院生が運営を担った点においても画期的です。その詳細について、運営チームの皆さんに報告書を執筆いただきましたので、ここに公開いたします。

Coffee Time Series は、気軽に研究の楽しさや研究にまつわる悩みを共有し助け合える場を作りたいという思いから始まったイベントシリーズです。国内外の博士課程に在籍する大学院生が中心となって運営を行なっています。一連のイベントを通じて、孤独になりがちな大学院生・研究者が分野を横断して集まること、またアカデミアの外にいる方々とも人間的なつながりを構築することを目標として、2020年度中に計4回のイベントを開催しました。

第1回「博士課程におけるチャレンジ」(2020年7月10日開催)

初回は、「博士課程におけるチャレンジ」をテーマに、近世オランダ宗教史を専門とされている安平弦司さん(日本学術振興会特別研究員CPD)をゲストにお迎えし、25人ほどのオーディエンスの方とも話し合いの場を設けました。

安平さんにはオランダ・ティルブルフ大学での博士課程留学中での体験を中心に、研究と留学生活についてお話しいただきました。トークでは、まず、研究者を志したきっかけや動機を交えつつ、ご自身の経歴を紹介していただいた後、ラテン語やオランダ語の手書き文書の解読と英語での執筆、現地での住宅探しの困難、奨学金や助成金の獲得など、オランダでの研究生活について詳細に振り返っていただきました。また、博論執筆のスピードを上げるための具体的な方法論についても言及していだたき、実際に実践したライフハックについてお話しいただきました。安平さんからのトークに続くディスカッションでは、実際の学位取得の方法やその後のキャリア形成などについての多数の質問が、参加者の大学院生から出ました。事後アンケートでは「海外生活における困難な状況に直面する場合について、ご本人の具体的な経験を例に語られ、多くの方々がご自身の持つ経験も一緒に共有していたところなどが良かった」というご意見をいただきました。

安平さんに博士課程での実際の悩みを打ち明けていただくことで、参加者が話題を共有しやすい回となったと思います。企画者の僕自身、現在博士課程留学を行っている毎日の生活の中で共有できる悩みがいくつもあり、「自分ひとりだけが持っている悩みではないんだな」と安心しました。院生や Early Career の研究者が他の人と人格的な繋がりを作る場として Coffee Time Series が、面白いイベントとなったことが非常に嬉しいです。(槙野)

第2回「研究と育児」(2020年9月11日開催)

第2回は、「研究と育児」をテーマに、中近世エジプト史がご専門の熊倉和歌子さん(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助教)をゲストスピーカーとしてお招きし、37名の方が参加してくださいました。熊倉さんには、「ある歴史研究者の育児・仕事・研究・生活」と題し、今回のトークの内容もあくまで一例であると断ったうえで、就職活動と出産から現在までのご自身の生活、育児・仕事・研究・生活の両立のために実践している工夫、学界への要望についてお話しいただきました。

トークでは、まず、博士号取得から就職活動と出産、出産後の仕事・研究への復帰、子育てしながらの研究や仕事、現在の日常生活などの具体的なご経験について共有してくださいました。次に、実際に工夫されている点として、パートナーとのスケジュール共有や家事の効率化など家庭のマネージメント、机に向かわないとできない作業とそうでない作業の仕分け、研究者コミュニティからの孤立を避けるための共同研究の積極的活用を挙げられました。また、学界に望むこととして、学会などのイベントは平日9時から17時までの時間帯での開催を基本としてほしい、休日開催の場合は託児所を用意してほしい、さらに公募の際には雇用条件や給与の額を明確にし育児中の研究者への支援の意思を示してほしいという要望を提示されました。その他に、大切だと思うものとして、研究したい気持ちを諦めずに持ち続けること、話のできる環境や助言をくれる人の存在などに言及されました。最後に、人生設計は特にしていなかったが、余裕のあるときに着実に研究を進めて蓄積を作っておいたことで、いざというときに自分を救ってくれるリソースが培われていたというお話がありました。

このイベントには事前質問も多く寄せられ、参加者の関心の高さが窺えました。また当日のディスカッションや懇親会でも、多くの方がご自身のご経験や悩みを共有してくださいました。ディスカッションでは、まず、ドイツに留学しながら子育てをしている纓田宗紀さん(アーヘン工科大学)から、熊倉さんのトークへのコメントとご自身のドイツでのご経験を紹介していただきました。他の参加者の方々からも多くの意見や質問が集まり、保育園探しの苦労、予定を立てることの難しさ、また学会の際に託児サービスがあっても開催地まで公共交通機関を使って連れて行くのがそもそも大変といった経験談には、子育て中の参加者のみなさんが強く共感されていました。また今後子育てに臨もうとする参加者の方からは、出産のタイミングや託児サービスの確保に関する悩みが寄せられました。しかし、このような様々な困難や苦労がありながらも、子供の存在が研究や仕事へのモチベーション維持につながっているというお話もありました。事後アンケートでは、「ゲスト以外にも子育て中の方の状況を聞けて良かった」、「同業者かつ同世代で情報交換できる人が身近にいなかったので参加できてよかった」などのご感想をいただき、同じテーマで他の研究者の体験談も聞いてみたいという要望も多く寄せられました。

イベントの中では、これまで私自身あまり話を聞く機会がなかった育児を含む研究者の具体的な生活と仕事・研究のお話を伺うことができ、自分のライフプランやキャリア形成を考える上でも非常に参考になりました。熊倉さんや参加者の方々のご経験談を伺う中で、自分の将来の生活について抱えていた漠然とした不安が少し解消されたように思います。またイベントの企画を通じて、このような情報交換の場が切実に必要とされていることを実感しました。熊倉さんが提示してくださった学界への要望を実現し、研究者が自身の生活において多様な選択をしつつ誰もが研究を楽しく続けていくことのできる環境づくりを進めるために、自分のできることを実践していきたいです。(大津谷)

第3回「アカデミア外の仕事と研究」(2020年12月11日開催)

第3回は、「アカデミア外の仕事と研究」をテーマに、中村優子さんをゲストにお招きしました。中村さんは、近代(戦前)東京における女性の移動・公共空間利用行動について博士論文を執筆された後、外資系企業に User Experience Researcher として勤務されています。中村さんには、27名の参加者に向けて、博士論文執筆中から一般企業でお仕事されていた経験を対談形式でお話しいただきました。

対談では、事前に参加者の方から質問を集った上で、主に博士論文執筆中の活動、現職に就くまでの道のり、現在のお仕事の三点を軸に中村さんにお答えいただきました。特に、建築学の中でも歴史的・社会史的アプローチを利用して博士論文を執筆された中村さんがこれまで経験されたお仕事の内容、博士論文と仕事との両立の仕方、現在のお仕事と研究活動で得た能力の繋がりについて、詳細にお話しいただきました。現在のお仕事は、博士課程でのご研究に直接関係しているわけではないものの、研究活動に不可欠なリサーチを実行する・情報を集める能力等は現在のお仕事にも活きる重要な能力であると述べられました。また、アカデミア外での就職を選択した理由についても具体的かつ率直にお話しいただき、自分の興味関心や適性を明確にした上で将来のキャリアについて考えることの重要性を指摘されました。

将来のキャリア形成・支援といったトピックは特に参加者の方の関心の高さが窺え、全体でのディスカッションや懇親会でもこの点について活発に議論が交わされました。特に文系の場合、アカデミア外でのキャリアを描きづらい、周りにロールモデルが少ないといった悩みがあり、なかなか企業で働くイメージがつかみにくいという声が挙がりました。中村さんからは、研究活動を通じて得た能力を一般企業の仕事にも応用できるとのお話があり、アピールポイントをつくることが重要であるとのご指摘いただきました。また、就職までの具体的なステップについて、最初のキャリアの積み方、CVでのアピール方法、博士課程学生の採用に積極的な企業の探し方、その他ウェブサイトなどについて情報交換が行なわれました。

イベント後には参加者の方から、アカデミア外でも様々な選択肢があるのだと前向きに考えられるようになったといった声をいただきました。引き続きアカデミア外で活動されている方の経験談をもっと聞いてみたい、企業の採用担当の方の意見も聞いてみたい、などのご意見もいただきました。院生や若手研究者にとってキャリア形成についての悩みはつきものですが、研究者が能力を活かしつつ多様なキャリアパスを描いていけるようになるための一歩として、参加者の方々と様々な視点や情報を共有できたことを嬉しく思います。(赤﨑)

第4回「研究にまつわる悩みの分かち合い」(2021年2月26日開催)

第4回は、「研究にまつわる悩みの分かち合い」をテーマに、運営メンバーと参加者の皆さんで「当事者ミーティング」を行ないました。研究を進めていくうえで、文献の読み方や整理の仕方、モチベーションの維持、研究と育児・家事・介護とのバランスなど、さまざまな悩みに出くわします。しかし、そうした悩みを誰かに相談したり、吐き出したりできる機会が少ないのではないか——そのような問題意識に基づくものです。

今回用いた「当事者ミーティング」という手法は、歴史家ワークショップが2020年6月に開催した「セルフケア・ピアサポートWS」において、一般社団法人リヴオンさんからご紹介いただきました。近い立場にある当事者間での問題解決や、各自が実現したいことの手がかりとなる「次の一歩」を見つけるための対話型ワークショップです。3-5名程度のグループに分かれたのち、ファシリテーターの進行に沿いながら、まずは1名が、「気になっていること」や「困っていること」「実現したいこと」を打ち明けます。他のメンバーは、いろいろな質問をしてその悩みの中身や背景などを掘り下げ、ついで、その解決に向けた自分なりのアイデアを出していきます。この一連の過程を通して、悩みを打ち明けた人もアイデアを出した人も、メンバー全員がそれぞれの問題解決・目標実現の手がかりを見つけることが「当事者ミーティング」の狙いなのです。

今回は、「セルフケア・ピアサポートWS」の運営に携わった藤田風花さん、安平弦司さん、吉川弘晃さんにご協力いただき、運営メンバー全員で事前にファシリテーションの練習をした上で、当日は合計16名を3グループに分けて「当事者ミーティング」を実践しました。じつは「参加者の多くが初対面、しかもオンラインという環境で、発言するのがなかなか難しいのではないか」という一抹の不安を企画者は抱いていたのですが、実際には、どのグループでも積極的に質問・アイデア出しが行なわれ、イベント後に実施したアンケートでも、「研究へのプレッシャーが軽減された」「(今まであまりなかった)他大学の院生・若手研究者と話す機会となり、充実した時間だった」といった、ポジティブな感想をいただきました。

新型コロナウイルスの感染拡大により、研究にまつわる悩みや、それを相談できる人間関係の断絶が深刻化する中、今回のような分かち合い、助け合いの場が必要であるとあらためて実感しました。今回参加してくださった皆さんも、この経験を生かして、自分のまわりにいる人たちと一緒に、ぜひ「当事者ミーティング」を実践していただけると嬉しいです。(北川)

総括・2021年度に向けて

2020年度、Coffee Time Series では、以上4つのオンラインイベントを開催しました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大後に開始されたこのシリーズではオンラインで初めて知り合いになった運営メンバーもいる中で、互いに支え合い、楽しみながら、一連のイベントを企画・運営することができました。加えて、イベントの企画・運営やファシリテーション、ピアサポートの実践などにおいて、それぞれのスキルアップを実感するとともに、立場や環境の異なる他者を理解するための意識を高めることができました。また、一連のイベントを通して、研究生活の楽しさや悩みを共有・共感したり、研究者のライフプランやキャリアの選択肢について考えたりする機会を提供できたと思います。

2021年度も引き続き、研究の楽しさやワークライフバランス、研究者のキャリア、ピアサポートなどをテーマとしたイベントを実施していく予定です。今後も、Coffee Time Series が気軽に悩みを共有できる支え合いの場として機能し、誰もが楽しく研究を続けていける環境作りに寄与できること、またイベントを通してより多くの方とお会いできることを願っています。今後扱ってほしいテーマや Coffee Time Series の運営に参加したいという意欲をお持ちの方は、こちらよりお気軽にご連絡ください

2020年度 Coffee Time Series 運営メンバー(五十音順):
赤﨑眞耶
市川佳世子
大津谷馨
纓田宗紀
北川涼太
篠田知暁
藤田風花
槙野翔